<政治とカネ考・残された課題>  自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の渦中で、与野党の国会議員が自ら代表を務める政党支部に寄付し、税控除を受けていた事案が次々と発覚した。違法ではないものの、自らの政治団体への寄付に伴う税優遇を政治家が受けるという手法に批判の声が相次いだ。

◆「私だけじゃない」と開き直った議員も

 自民党安倍派に属した菅家(かんけ)一郎氏が5月末、「裏金」を原資に、自身が代表を務めていた政党支部などに寄付し、約148万円の税控除を受けていたことが明るみに出た。菅家氏は事実関係を認め、控除された金額は返納したと説明した一方で、「合法だ」「私だけじゃない」と開き直った。  これを機に、国会議員の税優遇問題が取り沙汰され、自民の平井卓也氏や稲田朋美氏、福岡資麿氏、立憲民主党の吉田統彦氏らが税優遇を認めた。吉田氏も「身銭を切った寄付で何ら問題ない」と説明した。  租税特別措置法では、個人が政党に寄付した場合、寄付額の約3割を税額から減額されるか、課税対象の所得総額から寄付分が差し引かれる。個人献金の裾野を広げるための仕組みだが、結果的に国会議員の「税逃れ」に使われていた。課税されるべき「裏金」で税控除を受けていたとなれば、二重の税逃れとの批判は免れない。

◆後援会への寄付は対象外なのに…

 租税特措法では「自らに特別な利益が及ぶ」と認められる寄付は、税優遇の対象から外されてきた。例えば、政治家による自身の後援会や資金管理団体への寄付が該当する。  だが、自ら代表を務める政党支部への寄付は「抜け穴」として長年放置されてきた。6月成立の改正政治資金規正法でも、付則に「検討」項目として列挙されただけだった。今後、国会で「抜け穴」をふさぐ議論がなされるか、注視する必要がある。(坂田奈央) 

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