鹿児島県は19日、県内4カ所目となる救命救急センターについて、鹿児島市の米盛病院を指定する、と公表した。県医療審議会(池田琢哉会長)へ2度にわたり諮問したものの、賛否が集約されない状況だったが、塩田康一知事が「県全体の救命救急の底上げに必要」と判断した。

 県は一昨年に同病院の申請を受け、設備や診療体制が国の要件を満たしていると確認した。

 今回の指定は、鹿児島市立病院、鹿児島大学病院、県立大島病院に次ぐもので、救命救急センターの整備状況は、全国の中位程度に改善する見通しだ。

 これまで、審議会では医療関係者らから「霧島や大隅にこそ必要」「診療体制に懸念がある」などの批判的な意見が出ていた。

 審議会の池田会長は今月、「慎重に判断すべきだ」との答申を県側に提出した。ただ、審議会の議論では賛成意見も複数あり、最終的には知事の判断に委ねることも確認していた。

 これを受け、塩田知事は19日の記者会見で、ほかの地域でも指定を進める考えを示した上で、米盛病院の指定が県全体の救命救急の向上に資すると述べた。

 救命救急センターの指定をめぐっては、知事と池田氏の対立が、今月の知事選にも影響を及ぼしていた。県医師会の政治団体「県医師連盟」は池田氏が委員長を務めており、選挙の直前になって塩田知事への推薦を撤回し、対抗馬支援に回った。関係者からは今後の医療行政への影響を懸念する声も出ている。(加治隼人)

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