◆政倫審で弁明は2人だけ

 自民党が2025年夏の参院選の第1次公認候補に決定した現職の参院議員36人のうち、12人が派閥のパーティー券収入を政治資金収支報告書に正確に記載しなかった安倍派の「裏金議員」だった。12人のうち参院政治倫理審査会(政倫審)で弁明したのは2人だけで、10人は国会での説明責任を果たさないままだ。  参院政倫審は3月、自民議員ら32人に対する審査開催を全会一致で議決したが、出席したのは世耕弘成前参院幹事長と橋本聖子元五輪相、西田昌司元政調会長代理の3人。世耕氏は4月に離党勧告の処分を受け入れ、無所属となった。  立憲民主党などの野党は、残る29人の政倫審出席を繰り返し要求。5月の政倫審で出席要求を全会一致で議決し、出席を求める文書を29人に送付した。ただ、誰も応じることなく通常国会は閉会した。  今回公認された橋本氏は政倫審で弁明したとはいえ、党の役職停止(1年間)の処分期間中だ。堀井巌、加田裕之両氏は政倫審に出席せず、不記載額の多さから戒告の処分を下された中での公認となった。

◆出席要求決議の効力は続くが…

 政倫審への出席要求議決は国会閉会後も効力が続く。自民の小渕優子選対委員長は25日、公認候補に政倫審出席を促す考えはないと記者団に表明。「それぞれ地元や組織、団体から推薦された方を公認した」と強調した。  立民の長妻昭政調会長は本紙の取材に「裏金を何に使ったのか、全ての領収書を公表して有権者にきちんと明らかにするのが先だ。それすらもせずに選挙に出て議員を続けようというのは国民から理解されない」と裏金議員の姿勢を批判した。(山口哲人) 

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