政府は29日、旧優生保護法を憲法違反とした最高裁判決を受けて設置した「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」の初会合を開き、本部長を務める岸田首相は「社会全体が変わらなければならない」と述べ、政府一丸となって差別の根絶と共生社会の実現に取り組む決意を強調した。
この対策推進本部は全閣僚をメンバーとし、政府のこれまでの取り組みを点検し、差別解消のための教育や啓発の強化策を検討する。
初会合では、各省庁がそれぞれの取り組みについて説明した上で、岸田首相が、旧優生保護法下で強制不妊手術を受けた被害者らへの補償について早期に解決するよう超党派の議員連盟との調整加速を指示した。
岸田首相はさらに「障害者に対する偏見・差別・優生思想の根絶に向けて、これまでの取り組みを点検し、教育啓発等を含めて取り組みを強化する」として、
●障害者の希望する生活実現の支援
●各府省庁職員が適切に対応するための対応要領や、事業者向け対応指針の策定
●東京五輪・パラリンピックを機に策定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」における「心のバリアフリー」の取り組み強化
●障害当事者からの意見聴取と対策推進本部の成果取りまとめ体制の構築
を指示し、本部の成果として新たな行動計画を策定する方針を示した。
障害者差別の解消をめぐっては、旧優生保護法訴訟の原告団が17日に岸田首相と面会し、賠償の求めなどと併せて、再発防止や偏見差別の根絶に向けた環境整備を求めていた。また、岸田首相は発達に心配がある乳幼児を受け入れている施設を視察し、「障害があるお子さんもないお子さんも共に安心して生活できる社会を作っていく」との意向を示していた。
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