愛媛県の松山城の城山で起きた土砂災害で、原因の究明や再発防止について話し合う技術検討委員会のメンバーが29日に現地を視察し、土砂が流れ落ちた谷筋は「水が集まりやすい地形」だったことなどを確認しました。
この土砂災害、城山の斜面が7月12日に崩れふもとに住む一家3人が死亡するなどの被害が出ていて、愛媛県が国や松山市、愛媛大学の専門家を集めて技術検討委員会を設置。メンバーら11人が崩れた斜面を登り、担当者から被害の状況などについて説明を受けました。
県の担当者:
「太い大きい木が倒れているのが見れる。そのあたりにパイピングがあったところが確認されている。そこからさらに上流の方に10メートルか20メートル行ったところに、ちょうど中腹のところにも湧水が確認されています」
県によりますと、土砂が流れ落ちた谷筋の南側には「パイピングホール」とよばれる水の通り道があり、崩落後も水が流れ出ていたということです。説明を受けたメンバーらは改めてこの谷筋が「水が集まりやすい地形」であったことを確認しました。
メンバーは崩落の上部にある緊急車両用道路の工事現場近くに移動し、天守に降った雨水がどのように斜面に流れ込んでいたのかなどを確かめました。
松山市の担当者:
「(工事で)表面水が落ちていくことに対して、下の崖に影響を与えてはいけないので、こちら側の横断側溝を通じて流す対策はしておりました」
愛媛大学・森脇亮教授:
「崩壊斜面より南側に水が入り込んでる感じになってる」
視察のあとメンバーらは原因究明を進めるためのポイントを協議しました。
国土技術政策総合研究所・鈴木啓介室長:
「近年、道路を作ったことで『水みち』が変わっていることも、いくらかあるのかなと思う。道路の排水だとかお城の排水がどうなっていたのか」
委員らは大量に降った雨の「水の流れ」や、事前に起きていたひび割れや傾きなどの「道路の異変」に注目。さらにデータを集め検討を進めたいとしています。
森脇亮教授:
「緊急輸送道路の擁壁が傾いて、ひびが起きたり変状が起きたりすること自体は擁壁を支持している地盤が少しづつ緩んだり、ずれたりの『崩れる前兆現象』になっていたと思う。どこまで影響を及ぼすかに関しては、なかなか予測は難しかったのかもしれないと思う。どういった経路で水が流れてきていて、斜面を不安定化させ流動化させるきっかけとなりえたのか、可能性を検討することが大事になってくる」
委員会は年内を目標に原因と再発防止策をとりまとめる考えです。
この一方、松山市は29日の会合で、7月に復旧工事を始める時点で確認された緊急車両用道路の擁壁の傾きについて、道路を建設していた2017年9月の段階ですでに軽微な傾きを把握していたものの、道路の使用に支障はないと判断していたと説明しました。
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