農林水産省は2日、2024年上期(1〜6月)の農林水産物・食品の輸出額が前年同期比で1.8%減の7013億円だったと発表した。前年同期を下回ったのは、上期としては4年ぶりとなる。日本産水産物の輸入を禁止する中国向け輸出が43.8%減少したのが響いた。

内訳は農産物が5.7%増の4574億円、林産物が2.8%増の315億円で、水産物が19.3%減の1661億円となった。1品目が20万円以下の少額貨物は463億円だった。

国・地域別でみると、米国向けが最も多く1156億円で19.9%増えた。香港が10.5%減の1032億円、中国が43.8%減の784億円で続いた。農水省の統計で年間を通じて米国が最大の輸出先となれば、04年以来20年ぶりとなる。

中国や香港は23年8月から東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を理由に、日本の水産物の輸入を停止している。中国向けの水産物の輸出は前年同期から9割超、香港も2割ほど減った。

他方で、中国と香港以外の国・地域の合計をみると、農林水産物・食品全体で14.3%のプラスとなった。米欧での外食需要の高まりに加え、円安が輸出増に寄与したとみられる。韓国や東南アジア、欧州連合(EU)向けも2割前後増えた。

中国向けが多くを占めていたホタテは37.2%減ったものの、中国以外のアジア向けや米国は好調だった。米国は1.6倍、ベトナムは6.8倍、タイは2.5倍に増えた。メキシコには初めての輸出実績ができた。

ホタテは殻がついたまま中国にいったん送り、殻をとるといった加工をした上で、米国などに輸出するケースが多かった。農水省は中国の禁輸を受けて東南アジアや中南米でのホタテ加工を支援しており、一定の成果が出てきている。

調味料や緑茶、コメなども好調だった。日本食の普及や外食需要の高まりがけん引したとみられる。

政府は農産物の輸出額を25年までに2兆円、30年までに5兆円まで拡大する目標をかかげる。年間輸出額は23年まで11年連続で増えているものの、主要な輸出先の中国や香港向けが減速し、目標達成には暗雲が漂う。

農水省の担当者はこれらの目標について「毎月、景気や為替の状況は変わるため、現時点で見通しを答えることは難しい」と述べた。

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