総務省が発表した2023年度のふるさと納税の寄付額は前年度比16%増の1兆1175億円と初めて1兆円を突破した。4年連続で過去最高を更新した。件数ベースでも同14%増の5894.6万件と最多。制度を利用した人は初めて1000万人に達した。

ふるさと納税は都市と地方の税収格差を是正する目的で2008年度に始まった。故郷や応援したい自治体に寄付をすると、寄付額から2000円を引いた額が所得税や住民税から控除され、自治体からは特産品などを返礼品として受け取ることができる。

寄付というよりも、豪華な返礼品をお得にゲットできる通販感覚で急激に広まっており、ブランド肉や海産物などをそろえる自治体に人気が集中する傾向が続く。さらに、ふるさと納税を仲介するポータルサイトが利用者獲得策としてポイントを付与していることもふるさと納税人気に拍車をかけている。

自治体別の受け入れ額は、宮崎牛やいも焼酎などの返礼品をそろえる「宮崎県都城市」193が8400万円でトップ、「北海道紋別市」192億1300万円(カニ、イクラ等)、大阪府泉佐野市175億1400万円(肉加工品、タオル等)が続いた。トップ10には紋別市も含め4市町がランクインしている。

一方、ふるさと納税制度を利用する人が多い自治体は、住民税控除による税収「流出」が深刻だ。市区町村別では、「横浜市」の304億6700万円が断トツ。以下、「名古屋市」176億5400万円、「大阪市」166億5500万円、「川崎市」135億7800万円、「東京都世田谷区」110億2800万円と政令市や東京都区部が並ぶ。人口が多く、企業も多い都市部は確かに税収は多いが、住民サービスのニーズも多く、ふるさと納税による財源流出が住民サービスの低下につながりかねない。

総務省は2025年10月からポイントを付与するサイトを通じて寄付を募ることを禁止する。サイト間の過度な利用者獲得競争に歯止めをかける狙いだ。

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