政府は9日、都内で北朝鮮による日本人拉致問題をテーマにした「中学生サミット」を開いた。若い世代の関心を高める狙いがある。拉致問題相を兼務する林芳正官房長官は開会あいさつで「日本国民は決して忘れていないと北朝鮮に力強いメッセージとして発信するために大変に重要だ」と呼びかけた。

都道府県や政令指定都市の教育委員会が推薦した中学生67人が参加した。同世代や家族、地域の人に拉致問題を自分事として捉えてもらうための動画のアイデアを議論した。政府はアイデアを基に広報動画をつくる。

政府が中学生サミットを開くのは2023年に続いて2回目だ。内閣府の同年9月の「外交に関する世論調査」によると、拉致問題に関心を持つ割合は73.6%で、13年の86.4%から10ポイント以上も低下した。23年は18〜29歳に限ると64.1%にとどまった。

日朝首脳が最後に直接交渉した04年や拉致被害者5人が帰国した02年から20年以上が経過した。

北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの弟で、拉致被害者家族会の横田拓也代表は9日に講演した。家族の思い出などを写真を交えて紹介した。「誰かの話という目線・視点ではなく、私たちの問題、自分たちの課題であるというわがことの視点で聞いてほしい」と求めた。

拉致問題を巡っては、岸田文雄首相は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との会談に意欲を示している。

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