日本維新の会が党勢の立て直しに苦慮している。先の通常国会終盤に政治改革を巡って迷走し、東京都知事選では埋没。追い打ちを掛けるように兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑が影を落とす。「失点」続きの展開に、次期衆院選へ不安が広がる。

「次の選挙が怖い」。維新のある若手は党を取り巻く最近の情勢に関してこう漏らした。維新が強固な地盤を誇る大阪府以外から選出された衆院議員だ。

各種世論調査で維新の支持率は下降傾向にある。時事通信の8月の調査では1.8%と、約3年ぶりに1%台に落ちた。躍進が目立った2023年4月の統一地方選直後は5.9%だった。

改正政治資金規正法の採決に当たり、維新は衆院と参院で賛否をたがえた。吉村洋文共同代表(大阪府知事)や大阪の地方議員団が一連の経緯を問題視し、「総括」の場を設けさせたが、そこで馬場伸幸代表が「仲間を後ろから撃たないでほしい」と批判を抑えようとしたため、険悪なムードが漂った。

7月7日投開票の都知事選で、馬場氏ら執行部は前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の支援を一時検討したものの、同氏陣営と協議が調わなかった。「どの候補も推さない」との方針で臨んだが、世田谷区議が石丸氏を応援するため離党し、足並みの乱れを露呈。9選挙区で行われた都議補欠選挙では候補擁立が2選挙区にとどまり、いずれも敗れた。

21年の兵庫県知事選で、維新は自民党とともに斎藤氏を推薦した。執行部の一人は支持率下落について「あれは兵庫の疑惑のせいだ」と指摘。藤田文武幹事長は4日、党の兵庫県組織の会合で、斎藤氏の対応に問題があると認定されれば辞職を求める考えを示した。

25年大阪・関西万博で当初の想定を大幅に上回る費用の発生が見込まれることも、万博を推進してきた維新の党勢に影響を与えている。

次期衆院選に向けて維新は「与党過半数割れ」とともに「野党第1党」を目標に掲げてきた。ただ、現時点で候補擁立は立憲民主党の約190人に対して約160人にとどまる。反転攻勢の道筋が見えない中、ある幹部は「こつこつやるしかない」と語った。

改正政治資金規正法を巡る対応について発言する日本維新の会の馬場伸幸代表(左)=6月26日、国会内

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