沼津市議会の本会議で、議会の品位を汚す不適切な発言をしたとして二度の懲罰処分を受けた江本浩二 議員が処分の取り消しを求めて行った審決申請について、県が8月7日付で処分を取り消す決定を出したことを受け、高橋達也 議長は8月13日、当該の発言について「適切性を欠くとしながら、自立権に基づく懲罰に適法性が認められないとしたことは甚だ疑問」と怒りをあらわにしました。

沼津市議会の江本浩二 議員をめぐっては、2023年9月に行われた本会議で、「実は、私の農地の中にも市の土地が存在しています。その土地は現在、竹林として私が管理をして、そこから毎年タケノコを掘って、利益を得ています。販売したりしています。それは私のケースですが、このようなケースが市内にたくさんあるんですよ。皆さん市民です」と発言したことを受け、市議会会議規則で規定する「品位の尊重に違反した」として陳謝処分を科されましたが、これを拒否したため出席停止(1日)の処分が科されました。

これに対し、江本議員は自らが科された懲罰について「正当な根拠はない」と訴え、静岡県知事に対して処分の取り消しを求める審決申請をしていて、県は8月7日付で懲罰を取り消す決定を出しています。

県は決定に至った理由について、当該の発言に対して議長がその場で発言を制止したり、別の議員から議長による注意喚起を求めたりと議会の品位を保持するような対応が取られていないことから、品位を危うくするような事態を生じたとまでは判断できず、一次懲罰となる陳謝処分の適法性は認められないとした上で、陳謝処分に従わなかったことで科された出席停止処分についても適法性を認めることはできないと判断。

一方で、「『市有地のタケノコを掘って販売した』という言葉の選択は適切性を欠くと言わざるを得ない」と断じ、江本議員に対しては反省と今後の発言への配慮を求めています。

こうした中、沼津市議会の高橋達也 議長が8月13日に会見を開き、地方自治の制度上、認められた手続きによるものであり「結果には従う」としながらも、「地方自治体の議会運営に影響を与えるもの」と怒りをあらわにしました。

高橋議長によれば、当該の発言は市民を愚弄するものでもあり、まずは江本議員の自発的な判断により対応がなされるべきであると考え、発言を取り消す意思があるか確認したところ拒否されたと言います。

このため、議会として自発的な所作が期待できないと判断し、議会の自律的な権能に基づいて適正な手続きのもと懲罰を科したと主張し、発言内容が客観的に議会の品位を危うくするような事態を生じさせたとまでは判断することができないとした審決の決定に対しては、「議会の自律権に踏み込んだ判断で誠に遺憾」と述べました。

また、「『市有地のタケノコを掘って販売した』という言葉の選択は適切性を欠くと言わざるを得ない」と付言しながらも、「『自律権に基づく懲罰に違法性が認められない』としたことは甚だ遺憾」と憤りました。

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