日経平均株価が乱高下したことを受けて開かれた23日の衆参両院の閉会中審査では、与野党が植田和男総裁に加えて鈴木俊一財務相兼金融担当相にも質問を浴びせた。植田総裁らはどう答えたのか。主なやりとりをまとめた。(市川千晴)

衆院財務金融委の閉会中審査で答弁する日銀の植田和男総裁(左)=国会で(佐藤哲紀撮影)

◆植田総裁は株価急落の背景について…

 衆院財務金融委員会で最初に質問に立った自民党の中山展宏氏は、株価急落の背景についてただした。植田氏は「米国の景気減速懸念が急速に広がり、世界的なドル安と株価の下落が進み、日本も大幅下落。(日銀の)政策変更もあり、一方的な円安が修正した」と説明した。  公明党の中川宏昌氏は、追加利上げの見通しを質問。植田氏は「金融資本市場の動向が、経済・物価の見通しやリスクに及ぼす影響を見極めつつ、見通し実現の確度が高まれば、金融緩和の度合いを調整する」とし、7月の政策決定効果を慎重に見極めて判断する考えを示した。

◆デフレ「後戻りする可能性を否定できない」と財務相

 立憲民主党の桜井周氏は、日本経済の認識について質問。鈴木氏は「デフレでない状況に至ったが、後戻りする可能性を否定できない」と懸念を示した。  立民の階猛氏は、基礎的財政収支(PB)の2025年度の黒字化達成について「(秋に策定を目指す)補正予算の規模によって下振れの可能性がある」と問いただした。PBは、社会保障や公共事業などの経費を、借金に依存せずに税収などで賄えているかを示す指標。鈴木氏は「懸念は共有する」とした上で、「経済成長の実現と同時に、必要な事業予算の重点化や財政支出の効率化など歳出改革を進める」と述べた。

衆院財務金融委の閉会中審査で答弁する鈴木財務相=国会で(佐藤哲紀撮影)

◆政治資金パーティー「大きな問題」と追及されて

 共産党の田村貴昭氏は、鈴木氏が地元で開いた政治資金パーティーを「大きな問題だ」と追及。鈴木氏は派閥パーティー裏金事件を「政治不信を招いた。大変重く受け止めている」と答弁。一方で、政治活動の維持には、私設秘書の人件費や事務所の家賃など政治資金が必要だと主張。「必要以上の政治資金を集めようなんて気持ちは全くない。ルールを守り定期的に開催したい」と理解を求めた。  参院財政金融委員会では、金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはないと講演した日銀の内田真一副総裁と金政策運営の考えの違いについて、自民の白坂亜紀氏がただした。植田氏は、「私と副総裁の間で違いはない」と述べ、内田副総裁の発言は決定会合後の市場の大幅変動に対応した発言だと説明した。  立民の熊谷裕人氏は7月の追加利上げの是非を質問。植田氏は、利上げ後に発表された2024年4~6月期の国内総生産(GDP)と毎月勤労統計が日銀の見通しに沿って動いているとし「決定は適切だった」と強調した。 

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