候補乱立が予想される自民党総裁選だが、政治ジャーナリストの青山和弘氏は「第一に次の選挙に勝てる顔選び。第二に麻生太郎副総裁と菅義偉前総理の“キングメーカー覇権争い”」だと指摘する。
【映像】候補者12人の人気順がわかる図
総裁選では、前回タッグを組んだ「小石河連合」の動向に注目が集まる。石破茂元幹事長(67)は「38年間の政治生活の集大成。最後の戦い」として5回目の立候補を表明した。石破氏と同じく国民人気は抜群の河野太郎デジタル大臣(61)も、「河野家の悲願」を果たそうとしている。そして、小泉進次郎元環境大臣(43)も出馬のタイミングを見極めているとされる。青山氏は「現状、総裁の最有力とされている。もし小泉氏が総裁になれば、菅前総理は副総裁に任命され、麻生氏に代わって(菅氏が)党を牛耳る」と予想する。
当選4回の小林鷹之前経済安保大臣(49)は、クリーンなイメージの一方、旧統一教会のイベントに出席した経験があり、推薦人には裏金問題で解散した旧安倍派議員が多数、名を連ねる。高市早苗経済安保大臣(63)も「国家経営を担うべく、心を固めている」と意欲を示す。岸田派からは、上川陽子外務大臣(71)と、林芳正官房長官(63)の名が挙がる。岸田政権の重鎮である茂木敏充幹事長(68)も、岸田文雄総理の不出馬で出やすくなった。
他にも推薦人20人の「高い壁」に挑む議員がいる。斎藤健経済産業大臣(65)は「総裁選に出るべきだ」と勧められたと明かした。加藤勝信元官房長官(68)も「一念発起」の意向を示し、野田聖子元総務大臣(63)も意欲的だと伝えられている。また、青山繁晴参議院議員(72)も「総裁選に別の選択肢がある」と記者会見した。
青山和弘氏は、これら12人について「リベラルと保守は、簡単には分けられない」と語る。党内外の人気では、石破氏と小泉氏が「先頭を走っている。世論調査ワン・ツーが上に来る」。小泉氏になった場合は「菅氏は副総裁か副総理になる可能性が高い。そうなれば麻生氏は外され、菅・麻生のキングメーカー争いに決着が付く」。石破氏と小泉氏の決選投票になると、「麻生氏は石破氏とも仲が悪いが、石破氏に乗るのではないか」。
今後の論戦によっては、河野氏や高市氏、小林氏、上川氏も上がってくる可能性があると解説する。林氏、茂木氏、加藤氏は「ベテランで安定感もあるが、世論の支持がない。出馬断念して、誰かの後ろに回る可能性も否定できない」。野田氏、青山氏は「推薦人の確保がかなり厳しい」が、斎藤氏は「もしかしたら20人に達するかもしれない」。斎藤氏まで出馬にこぎ着けると「10人の大乱戦」となる。
元衆議院議員の宮沢博行氏も、注目候補者を分析する。小泉氏は「各国首脳と会談している様子が想像できない。これをやったら日本は終わる」。石破氏は「安定感があるが、華がない」。河野氏は「政策が極左。保守派の支持を拡大できるかが課題だ」とした。
小林氏は「天は五物を与える。背が高く、頭が良く、顔が良く、性格が良く、選挙に強い。だが、スピーチ力はなかった。トップリーダーは言葉が刺さることが必要」。上川氏も「大臣としては有能だが、スピーチ力はどうか。党内の立ち位置は安定している」と見る。
青山和弘氏は、「小林氏や小泉氏になれば、“若い人”という意味では新しいが、新しい顔にしても中身が一緒だと、生まれ変わった自民党とは言えない」と語る。「国際状況の中で安定感のある人がいいのか。刷新感も経験もある上川氏や斎藤氏が上がる可能性もある」。
小泉氏や小林氏になると、一気に代替わりすることになる。懸念も聞かれるが、「ベテラン・中堅も使っていかないと組閣できない。未経験ばかりでは国が傾く。チームを見せてもらわないといけない」。
総裁選に投票できるのは自民党員だけだが、世間一般の知名度もポイントとなる。「1回目の投票は、議員票が半分・党員票が半分。党員票は世論調査と同じような数字が出る。党員に向けてSNSなどでのアピールができるかどうかを『新しい時代の総裁選』として見ていかなければいけない」(青山和弘氏)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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