自民党の麻生太郎副総裁は27日、横浜市内のホテルで開催した麻生派(志公会)=54人=の研修会で講演し、9月の党総裁選で、河野太郎デジタル相(61)を同派として支援することを軸に対応する意向を表明した。派閥として支持の一本化はせず、他候補の支持も容認する考えを示した。ただ、「脱派閥」は総裁選の大きな争点で、党内で唯一存続を決めた麻生派が支持基盤となることが「守旧派」として河野氏の足かせとなる懸念も強まっている。
麻生氏は講演で「志公会で育ち、同じ釜の飯を食って育ってきた河野太郎を同志としてしっかり応援していきたい」と明言。「志公会以外からぜひ多くの支援者を取り集める努力もしてもらわなければならない」と述べ、派閥として支援していく考えを示した。一方、「こういう大会を開いて『一致結束(箱)弁当』みたいに縛り上げるつもりは全くない」とも語り、他候補への支援も容認する考えを示した。
派内には、河野氏がかつて「脱原発」を持論としていたことへのアレルギーなどから、距離を置く議員が少なくない。一部は、小林鷹之前経済安全保障担当相(49)や上川陽子外相(71)の支援に回る意向を示しており、投票先は3候補以上に分散する見通しだ。
とはいえ、麻生氏の意向を受けて大半は河野氏支持でまとまるとみられる。麻生氏は「志を同じようにする人たちが、なるべく一致できるのであれば、これに勝ったものはない」とも語った。
だが、「派閥丸抱え」のイメージを持たれることになれば、「改革派」を自負する河野氏にとってマイナスになる可能性もある。
河野氏は26日のBS番組で、派閥が総裁選の「後ろ盾」となることについて、「派閥が全部悪いというのはレッテル貼りだ」と強調。党が派閥パーティーの禁止や、人事への不介入を決めたことを強調し、「麻生派にいて何が問題なんでしょうか」と色をなして反論した。
一方、総裁選への出馬を表明した小林氏は「旧派閥に対する支援は一切求めない」と明言し、「脱派閥選挙」を掲げている。麻生派内からも「表向きだけでも派閥を解散して、総裁選を迎えるべきだった。そうすれば、河野さんの支持ももう少し伸びただろうが、もう後の祭りだ」と不安視する声が上がる。【高橋祐貴】
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