9月の自民党総裁選に出馬表明済みの3候補が、女性政策に関して積極的に考えを示していないことについて、党内から不満が出ている。3候補はいずれも男性で、表明の際、派閥の政治資金パーティー裏金事件からの「刷新」を訴えた一方、党の女性国会議員が10%程度にとどまる現状や問題意識には触れなかった。女性議員からは「これでは刷新できない」との声も漏れる。

◆それぞれ1時間、党改革などを語ったが…

小林鷹之氏㊧、石破茂氏㊥、河野太郎氏㊨

 自民党の議員連盟「女性議員飛躍の会」は28日、国会内で会合を開き、稲田朋美幹事長代理が、3候補について「(女性政策に)あまり言及がない」と指摘した。「女性活躍や女性議員を増やすことに自民党の目が向いていない。総裁候補がもっと熱く語ってほしい」と苦言を呈した。  これまでに出馬表明した小林鷹之前経済安全保障担当相(49)、石破茂元幹事長(67)、河野太郎デジタル相(61)の3氏は、それぞれ約1時間にわたって会見を開いた。柱の公約として党改革や経済・安保政策などを挙げたが、女性政策に関する言及はなかった。3氏は今後、詳細な政策を発表する。

◆なかなか上がらない女性議員の割合

自民党総裁選で女性政策を取り上げるよう訴える稲田朋美幹事長代理(左から3番目)ら=28日、国会内で

 自民は昨年、女性議員の育成・登用に関する基本計画を策定。現状は10%程度の女性議員の割合を、10年後には30%まで引き上げる目標を掲げる。ただ現職議員は男性が多く、実現のハードルは高い。  飛躍の会は、立候補者に対し、女性議員を増やす具体策や、議席や候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」導入の是非を問うアンケートを行い、結果を公表する方針。  今回の総裁選では、高市早苗経済安保担当相(63)、上川陽子外相(71)、野田聖子元総務相(63)の女性議員3人も出馬に意欲を見せる。党が作製した総裁選宣伝ポスターは、歴代の男性総裁ばかりの写真を載せており「おじさんの詰め合わせ」といった指摘が出ている。(川田篤志)


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