立憲民主党代表選は告示日の9月7日まで10日と迫る中、再選に意欲を示してきた泉健太代表(50)が立候補を表明できずにいる。泉氏は2021年の代表就任から3年近くなるが、党内で泉氏を支援する動きが広がっているとは言い難く、現職の代表でありながら推薦人20人の確保に苦慮している。

地方議員有志から代表選出馬要請の署名を受け取り、記者団の取材に応じる立憲民主党の泉代表

◆衆院3補選で全勝、成果は残すが…

 代表選には、枝野幸男前代表(60)が立候補を正式に表明しているほか、野田佳彦元首相(67)も29日に表明する。吉田晴美衆院議員(52)も出馬に意欲を示している。  泉氏は政権交代に向けて、各党が一致できる政策で連携する「ミッション型内閣」を提案。7月の段階から、「政権準備の一環」として他の野党党首との会談を重ねるなど、再選に向けて動いてきた。それから1カ月が経過したが、正式な態度表明には踏み切らないまま。22日にはテレビ番組で「推薦人を集めるのは決して簡単ではない」と出馬準備の厳しさを明かした。  泉氏が代表として率いた22年の参院選で、立民は議席を減らし、23年4月の衆参5補選では1議席も獲得できなかった。風向きが変わったのは、今年1月の自民党派閥の裏金事件。4月の衆院3補選では立民が全勝する結果を収めた。

地方議員有志から代表選出馬要請の署名を受け取る立憲民主党の泉代表(手前左)

◆様子見が続く立憲民主党内、自民とは対照的

 党内には、旧民主党政権で閣僚経験のない泉氏が代表のままでは、自民党に対する十分な対抗軸となり得ないとの見方もある。党重鎮の小沢一郎衆院議員は泉氏が再選された場合は「(党の)沈没だ」と断言。「(他の)野党との協力態勢がうまくいってない」などと批判を強めていた。  一方で泉氏に近い議員は「前回の衆院選敗北から今日まで3年間、堅実に党運営し、支持率は日本維新の会を上回った。連合や他党との協議も進めている」と評価し、支持確保を進めている。  今回の立民代表選は自民党総裁選と日程の多くが重なる。立候補の動きが早いほど、注目を集める機会も増えるが、出馬に意欲を示す議員らは、お互いの動きを様子見しているのが実情だ。党内には「いつもと同じ顔触れだと代わり映えせず盛り上がらない。刷新感が出なくて埋没してしまうよね」(中堅参院議員)との懸念もある。(中沢穣)


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