立憲民主党代表選(9月7日告示、23日投開票)への立候補を表明した野田佳彦元首相(67)=衆院千葉4区=は29日、集まった報道陣に対し、自身を「どじょう」に例えたり、路上ライブから出発してスターダムにのし上がった人気ミュージシャンに重ねたりして、庶民性や泥くささをアピールした。 8月29日は、13年前に旧民主党の代表選で投開票があった日。野田氏は演説で自らをどじょうになぞらえて支持を訴え、菅直人氏の後任の代表に選出された。

立憲民主党代表選への立候補を表明する野田佳彦氏=8月29日午前、千葉県習志野市で(七森祐也撮影)

◆元ネタは相田みつをさんの詩

野田氏は地元の千葉県習志野市で報道陣を前に出馬表明し、代表選に勝利した後の心構えを披露。9月の自民党総裁選に立候補する小泉進次郎元環境相=衆院神奈川11区=や小林鷹之前経済安全保障担当相=衆院千葉2区=らの華やかな家系や経歴を念頭に、「やたら改革もどきを言っている、世襲の多い『金魚』たちに立ち向かっていく『どじょう』でありたい」と対抗心をのぞかせた。 どじょうの元ネタは、書家で詩人の相田みつをさんの「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」という詩で、野田氏は2011年8月29日に投開票された民主党代表選で引用。この代表選に勝利して民主党政権最後の首相に就任し、「どじょう内閣」と呼ばれるきっかけとなった。

民主党の新代表に選出され一礼する野田佳彦氏=2011年8月29日、東京都千代田区で(松崎浩一撮影)

◆「どじょうが出てきて大増税」と批判も

野田政権が消費税率の引き上げや関西電力大飯原発(福井県大飯町)の再稼働を決めた時には、官邸前で行われた反対デモで、童謡「どんぐりころころ」を替え歌にして「どじょうが出てきて大増税」「どじょうが出てきて再稼働」と歌われた。 泥くささのアピールでは、下野後の2016年、側近の蓮舫参院議員(当時)が民進党代表となり、首相経験者として異例の野党幹事長に選ばれた際に、蓮舫氏の名前をもじって、自らを「はすの花を支える蓮根れんこん」と例えたこともある。

民進党の新幹事長に選ばれ、あいさつする野田佳彦氏。右は蓮舫代表=2016年9月16日、国会内で(小平哲章撮影)

◆「私は街頭で生まれ、育てられた政治家」

一方、立候補表明の場所に選んだ習志野市は、1987年に県議として議員生活をスタートさせる際に初めて街頭演説に立った思い出の地。野田氏は「格好つけるわけではないが、街頭から生まれたミュージシャンの『ゆず』や『コブクロ』がいる。私も38年間、ずっと街頭(演説)をしてきた。街頭から生まれ、街頭で育てられた政治家だ」と力を込めた。 ただ、ベテランであることから「刷新感」とは程遠いと指摘する質問には、歌手の小林旭さんが1975年にリリースした代表曲を引き合いに「私が『昔の名前で出ています』と表現すると、曲を知らない記者がいっぱいいるぐらい古い」と自嘲気味に語りつつ、「(政治)刷新するには一定の経験が必要だ」と付け加えることも忘れなかった。(我那覇圭、宮尾幹成)

地元で街頭演説する野田佳彦氏=2016年7月、千葉県習志野市で(村上一樹撮影)



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