自民党は2日、憲法改正実現本部の会合を開き、憲法9条への自衛隊明記などに関する論点整理をまとめた。「自衛隊の保持」を盛り込んだ2018年案を踏襲しつつ、文民統制(シビリアンコントロール)の規定を追加することも「選択肢の一つ」と明記した。党総裁選での改憲議論を活性化させる狙いがあるが、野党との溝は深く実現の可能性は見通せない。
会合には岸田文雄首相(党総裁)が出席。「自衛隊明記を含めた複数のテーマについて一括して国民投票にかけるべく議論を加速していく」と意義を強調した。ただ、首相は既に退陣を表明しており、「新しい総裁にも引き継いでもらえるよう、しっかり申し送りをする」と語った。
自民は18年、戦争放棄や戦力不保持を規定した現行の9条1項・2項とその解釈を維持した上で「9条の2」を創設し、「自衛隊を保持する」との案を取りまとめている。論点整理では、従来案で「既に議論が決着」しているとし「基本的に堅持すべき」だと記した。
シビリアンコントロールの明記は公明党の主張に配慮したとみられ「選択肢の一つとして排除されるものではない」とした。憲法72、73条の内閣や首相の職務権限の条文に付記する案を検討している。
大災害や有事などで内閣の権限を強化する「緊急政令」については「緊急政令の根拠を憲法に規定することは必要」と記した。
一方、これまで憲法審査会などを通じ、野党と協議を重ねてきたテーマは緊急時の議員任期延長案で、自衛隊明記や緊急政令については与野党で意見に隔たりがある。実現本部の加藤勝信事務総長は記者団に「具体的な議論は衆参の憲法審査会などを通じて理解を広げていく」と語った。【遠藤修平】
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