北九州市の初代門司駅の関連遺構をめぐりユネスコの諮問機関「イコモス」が「ヘリテージ・アラート」と呼ばれる警告文を出したことに対し、北九州市の武内和久市長は4日、現地での複合公共施設の建設を計画通り進める考えを明らかにしました。
北九州市のJR門司港駅の東側では明治期の初代門司駅の関連遺構が見つかり、市はこの場所に、老朽化した区役所などを集約する複合公共施設の建設を予定しています。
この遺構をめぐってフランスにあるユネスコの諮問機関「イコモス」が「ヘリテージ・アラート」と呼ばれる警告文を出しました。
これに対し北九州市の武内市長は4日、コメントを出し、今回のヘリテージ・アラートについて「文化遺産の保存と保護に関わるお立場からの大切なご意見と認識しています」とした上で、市として学識者や市民の意見を受けて様々な観点から検討を行った結果、「集約予定の公共施設の老朽化は待ったなしの状況であり、また、他に施設を整備する代替地もない」として「市民の安全安心が第一」との考えのもと事業を計画通り進めることを明らかにしました。
イコモスは警告文で、遺構について「近代門司発祥の地の再発見であり、重要な歴史的価値を持つ」とした上で、「日本そして世界にとって重要な文化遺産を、北九州市が軽視していることを深く遺憾に思うとともに失望しております」などとして、市に施設の建設をいったん中断することや市民・専門家などと遺跡の保存について協議することなどを求めています。
イコモスはこれまでにも保存を求める声明文を出していて、市は8月に追加の発掘調査をはじめたばかりでした。
文化庁によりますとヘリテージ・アラートには法的拘束力や罰則規定はないということです。
武内市長は「門司の発展の歴史や鉄道史を後世に伝える観点を尊重してほしい」という意見が市民から出ていることについて「どういったことができるのかを引き続きしっかりと考えたい」としています。
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