自民党本部=東京都千代田区で、平田明浩撮影

 国会議員や会計責任者ら計11人が立件された自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、東京地裁は10日、志帥会(二階派)の元会計責任者に初の有罪判決を言い渡した。

 裏金事件は深刻な政治不信を招き、政治資金規正法改正の引き金となった。ただ、なお実態解明や再発防止策が不十分との指摘は根強く、自民党総裁選(12日告示、27日投開票)では今後の対応を巡って論戦が活発化している。

 事件では、自民の清和政策研究会(安倍派)、志帥会(二階派)、宏池会(旧岸田派)の政治資金収支報告書の収入が少なく記載され、安倍派と二階派では議員側でパーティー券のノルマ超過分が裏金化。党の調査で2018~22年に80人以上の政治資金収支報告書に不記載や誤記載があったとされ、安倍、二階両派の39人が処分された。

 「政治とカネ」が通常国会の焦点となり、6月に改正政治資金規正法が成立。議員に収支報告書の「確認書」作成を義務づけ、議員が十分にチェックしないまま不記載や虚偽記載が発覚すれば公民権停止となる仕組みを導入した。パーティー券購入者の公開基準額も現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げ、政治資金の透明化を図るとした。

 だが、抜け道が温存されているとの意見は根強く、いつからどのような経緯で裏金づくりが始まったかも明らかになっていない。こうしたことが岸田文雄内閣の低支持率の要因にもなり、8月の退陣表明につながった。9月には、為公会(いこうかい)(現・志公会=麻生派)の裏金疑惑も毎日新聞の報道で表面化した。

 自民は信頼回復の正念場に立たされており、総裁選を巡っては裏金事件に関連した発言が相次いでいる。一部の候補者からは、収支報告書への不記載があった議員に対して不記載相当額を国庫に返納させる考えや、選挙での公認を厳正化する方針が表明された。【飯田憲】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。