自民党総裁選(27日投開票)は12日に告示される。加藤勝信元官房長官(68)は10日、国会内で記者会見し、立候補を表明。「国民の所得倍増」が最重要課題だと訴えた。災害対応を中心とする経済対策を策定し、裏付けとなる「大胆な補正予算」を早期に成立させる考えを示した。加藤氏の出馬は初めてで、正式表明は8人目。
上川陽子外相(71)は国会内で開かれた陣営の会合に出席し、「20人の推薦人が集まり、立候補できる」と明言した。11日に出馬会見を行う。
加藤氏は会見で、所得倍増の実現へ「ニッポン総活躍プラン」を掲げ、給食費と子どもの医療費、出産費の負担をなくす「三つのゼロ」を打ち出した。派閥裏金事件を巡り、関係議員に「説明責任を果たすよう働き掛ける」と強調。「党として不記載相当額の国庫返納を検討すべきだ」と語った。
一方、石破茂元幹事長(67)、林芳正官房長官(63)、小林鷹之前経済安全保障担当相(49)は10日、政策をそれぞれ発表した。
石破氏は「地方の可能性を最大限引き出す」として、財源と権限の移譲を進めると説明。少子化と人口減にも対応する地方創生の本部を政府に新設し、担当相を置くとした。また、「日米地位協定の改定を目指す」と言明した。
林氏はガソリンと電気・ガスの補助金について「家計支援で効き目が高い。必要な状況なら続けていく」と説明。地方活性化では「地域インフラとして郵便局のネットワークが大事だ」と述べ、郵政民営化法を改正して郵政事業の再構築を図る考えを示した。
小林氏は若年層の保険料負担軽減や健康寿命の延長、今後増加が予想される医療費の削減など広範なテーマを議論する国民参加型の「社会保障未来会議」を政府に新設することを提唱した。
総裁選には小泉進次郎元環境相(43)らも出馬を表明している。斎藤健経済産業相(65)と野田聖子元総務相(64)は推薦人集めが難航。野田氏は出馬を断念した。小泉氏の支援を検討している。
立候補者数は推薦人制度が導入された1972年総裁選以降では2008年と12年の5人が最多だった。
記者会見で自民党総裁選への出馬を表明する加藤勝信元官房長官=10日、国会内
野田聖子 元総務相
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