集まった支援者らに陳謝する日本維新の会幹事長の藤田文武衆院議員(左、右は落選した石垣直紀氏)=21日夜、大阪府大東市

21日投開票され、新人3氏の争いとなった大阪府大東市長選は、無所属で元市高齢介護室課長の逢坂伸子氏(56)が制した。府内の首長選勝利が〝党是〟でもある地域政党、大阪維新の会は、同市長選で初の公認候補を立てたが及ばなかった。これで国政政党、日本維新の会の藤田文武幹事長のお膝元である衆院大阪12区(大東、寝屋川、四條畷の各市)内の市長選は3連敗に。府内で伸長してきた大阪維新は戦略の見直しを迫られそうだ。

「あー、マジか」。21日午後11時過ぎ、大東市長選の開票速報で大阪維新の元市議、石垣直紀氏(58)の落選が濃厚になると、選挙事務所に詰めかけた支持者からため息が漏れた。藤田氏は「選対本部長の私に責任がある」と陳謝。「候補者選定がギリギリになり、活動が足りなかった」と敗因を分析した。

今回は現職の東坂浩一市長が昨年末、4選不出馬を表明し混戦模様に。維新にとっても「新人同士の戦いでチャンス」(関係者)だった。出陣式には枚方や守口、東大阪など近隣の維新市長が集結し気勢を上げるなど必勝態勢を取っただけに、党内はショックを隠せない。

藤田氏の地元では、4年前の四條畷市長選で現職に挑んだ維新候補が敗れ、昨春の寝屋川市長選でも維新候補が現職にダブルスコア以上の差で完敗した。大阪維新の横山英幸幹事長は22日「(藤田氏の)お膝元で維新の評価が悪いということではない。(逢坂氏の陣営が)市政の詳細を把握し発信できたので及ばなかったのだと思う。党本部と現地で戦略を練って戦いたい」と述べた。昨春の統一地方選まで府内で維新の伸長が続いたなか、他党にとっては攻勢のチャンスとなりそうだ。

ただ、大東市長選と同時に行われた市議選では維新候補は5人全員が当選。前回選挙より1人増やした。次期衆院選で府内の選挙区で日本維新と対決する公明党の関係者は「市長選で有権者は政党よりも候補者本位で選択したのではないか」と分析。「(衆院選などに向け)全く楽観視できない」と話す。

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