報道陣の取材に応じる兵庫県の斎藤元彦知事=神戸市中央区で2024年9月12日午後3時49分、北村隆夫撮影

 兵庫県の斎藤元彦知事(46)がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で12日、県議会(定数86)の全会派・議員が19日に知事の不信任決議案を共同提出することで足並みがそろった。即日採決で、可決されるのが確実な見通しとなった。可決されれば、斎藤知事は通知後10日以内に辞職か議会解散の選択を迫られる。報道陣の取材に応じた知事は「議会からの指摘は大変重いが、それでもなお県政を担いたい」と続投に意欲を見せた。

 この日は県議会最大会派・自民党県議団(37人)と公明党議員団(13人)、立憲民主党系議員らが所属するひょうご県民連合(9人)、共産党県議団(2人)の4会派と無所属議員4人が、知事の辞職を申し入れた。服部洋平副知事に手渡した辞職を求める書面は「県政への信頼は大きく損なわれ、県民のみならず全国から厳しい批判が寄せられている」と指摘。「職員が安心して働ける職場を一日でも早く取り戻し、新たに信任を得た知事のもとで来年度予算を編成するためには即時辞職が必要だ」とした。

 9日には維新の会県議団(21人)が辞職と出直し選を申し入れている。辞職要求後に報道陣の取材に応じた北野実・自民県議団幹事長は「全会派・議員からの申し入れの重みを受け止め、知事には辞職という賢明な判断をしてもらいたい」と述べた。

今後想定される斎藤知事の進退の流れ

 自民などの会派は議員団総会を開き、県議会定例会初日の19日に不信任決議案を提出することで合意。公明は「自身の責任をしっかり考えて判断いただきたい」とし、県民連合は「言葉に行動が伴っておらず、知事を任せるわけにはいかない」と強調した。自民など4会派は、不信任決議案可決後に知事が議会を解散しても調査特別委員会(百条委)を再設置して疑惑解明を続ける方針で一致した。

 維新も他会派と同調することで合意した。維新の岸口実団長は「方向性に違いはない。議会全体と調和し、他会派が19日でそろっているなら賛同する」と話した。

 県議会総意の辞職要求に対し、知事は12日午後、報道陣の取材に「9月議会で補正予算を成立させることが大切。来年度予算の議論も本格化する。大変厳しい状況だと理解しているが、政策・事業を一つ一つやっていきたい」と改めて辞職を否定した。

 県議会は19日に補正予算案を採決・成立させた後、不信任案を提出する。【中尾卓英、山田麻未、中田敦子】

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