記者会見で質問者を指す林芳正官房長官=首相官邸で2024年9月19日午前11時14分、平田明浩撮影

 林芳正官房長官は19日、中国広東省深圳市で日本人男児が刺されて死亡した事件を受け、日本人学校へのスクールバスや徒歩などでの通学の安全確保策を、関係省庁が至急検討すると明らかにした。「日本人学校の安全対策を含め、再発防止に全力を尽くす」と強調した。中国では6月にも日本人母子が襲われる事件が発生している。

 林氏は、今回の男児死亡事件について「深い悲しみを禁じ得ない。心からお悔やみを申し上げる」と哀悼の意を示し、「子供を襲う卑劣な行為で誠に遺憾だ。政府として全力でご家族の支援に当たる」と述べた。

 日本政府は事件を受けて現地に駐広州総領事を派遣した上で、中国側に対し、事実関係の説明と日本人の安全確保について万全を期すよう強く求めた。

 事件が起きた18日には、岡野正敬外務事務次官が中国の呉江浩駐日大使に対し、中国全土の日本人学校周辺で警備強化に万全を期すよう要求。林氏によると、呉氏は「事件が起きたことは痛ましく、現地の日本人を含む諸外国の方の安全確保の強化に努める」と応じたという。

 現地で44歳の男性が容疑者として拘束されているが、深圳市の警察当局は詳しい状況や動機を明らかにしていない。林氏は「犯行の背景について現地当局が取り調べを行っており、予断を持って答えることは差し控えたい」と話すにとどめた。一方で「日本政府として言うべきことはしっかりと言う」と強調した。【鈴木悟】

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