兵庫県の斎藤元彦知事(46)らによるパワーハラスメントなどの疑惑が文書で内部告発された問題で、県議会(定数86)は19日午後、斎藤氏への不信任決議案を全会一致で可決した。斎藤氏は10日以内に議会の解散か失職・辞職かの判断を迫られる。白鳥浩・法政大大学院教授(現代政治分析)は、斎藤氏の今後の対応について「議会解散なら筋違いだ」と指摘する。知事に辞職を求めた県議会各会派の姿勢も、パフォーマンス合戦の様相を呈していると厳しくみる。
白鳥浩・法政大大学院教授の話
兵庫県の斎藤元彦知事は公益通報に対する正しい理解が欠けており、初動から対応を誤った。告発文書は知事自身に関する内容が大半で第三者に調査を任せるべきだったし、知事にしっかりと進言できる側近らがいなかったのは行政組織としても問題だ。
斎藤氏は「県民からの負託」という言葉を繰り返して自己正当化するが、その負託を知事選で受けたのは3年前の2021年だ。一連の問題が深刻化している以上、いったんは辞職して出直し選に立候補し、現在の民意を確かめればよい。
都道府県知事の不信任決議案が可決された例は過去4度あるが、いずれも知事が辞職か失職を選び、知事が議会を解散したケースは一回もない。特に今回の問題は政策を理由とした不信任ではなく、知事の資質に端を発している。そうである以上、自分が身を引かずに、議会を解散するなら筋違いではないか。
二元代表制の一翼を担う議会側にも責任がある。各会派は長らく態度が煮え切らなかったのに、維新を除く全会派が知事に辞職を求める見通しになった途端、維新が抜け駆け的に辞職を求める申し入れ書を提出した。各会派によるパフォーマンス合戦の様相だ。取り沙汰されている衆院解散・総選挙をにらみ、自分の党をアピールしたり、ダメージを少なくしたりする思惑が見え隠れする。議会は、知事の責任や県政への影響などを判断して、もっと早くに知事に引導を渡すこともできたはずだ。
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