岸田文雄首相の後継総裁を決める自民党総裁選は27日、投開票される。石破茂元幹事長(67)、高市早苗経済安全保障担当相(63)、小泉進次郎元環境相(43)による三つどもえの争いとなっており、3人のうち2人が決選投票に進む公算が大きい。党員・党友票の大半は投票を終えていて、各候補は議員票に照準を絞って選挙戦を展開。決選投票をにらんだ票の奪い合いは激しさを増している。
議員票でトップを走るのは50人超の小泉氏。石破、高市両氏が30人超にとどまる中、出馬を断念した斎藤健経済産業相や、岸田氏側近の木原誠二幹事長代理も陣営に加わるなど広がりをみせる。高い知名度を追い風に地方票でも優位に戦いを進めたい考えだ。
ただ、解雇規制の見直しなどを巡る急進的な改革姿勢に慎重論が上がり、党員票の伸び悩みが顕在化。関係者によると、陣営が先週末に党員を対象として実施した世論調査で、小泉氏は石破氏、高市氏に次ぐ3位に沈んだという。陣営内では「決選投票には当然行くものだと思っていた」との声も出ている。
決選投票(国会議員票368票、都道府県票47票)では議員票の比率が約9割に増大するため、議員票の動向が勝敗を左右する。このため、党内で唯一派閥の存続を決めた麻生派(54人)や旧岸田派(解散時46人)などが結束して投票するかに注目が集まる。
小泉氏は24日、麻生派を率いる麻生太郎副総裁、裏金事件を受けて離党した後も参院安倍派に一定の影響力を持つ世耕弘成前参院幹事長と相次いで会談した。小泉氏は25日、派閥有力者との会談について、記者団に「有力者イコール改革派ではない、というのは全く違う。一人でも多くの方に直接、支援のお願いをするのは当然だ」と理解を求めた。
党員票で勢いをみせる高市陣営は、選対本部長を務める中曽根弘文元外相が麻生氏と国会内で会談。決選投票を見据えて支援を求めたとみられる。
地方票で首位に立つ石破陣営は、1回目でトップで決選投票に進むシナリオを描く。石破氏は25日、議員票の積み上げに向けて陣営が絞り込んだ「100人リスト」をもとに議員に電話をかけ、支持拡大を訴えた。【森口沙織、川口峻】
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