自民党総裁選は27日、党本部で国会議員の投票が行われ、党員・党友票と合わせて即日開票される。過去最多の9人が立候補し、上位2人による決選投票となる見通しだ。石破茂元幹事長(67)、高市早苗経済安全保障担当相(63)、小泉進次郎元環境相(43)の有力3候補が接戦を繰り広げており、決選を見据えた議員票の争奪が激しさを増している。
総裁選で「脱派閥」が争点となる中、最終盤には派閥領袖(りょうしゅう)らに協力を要請する「重鎮詣で」が相次いだ。
石破氏は26日夕に麻生太郎副総裁の事務所を訪れ、約35分間会談。総裁選での支援を求めたとみられる。
麻生政権時代に「麻生おろし」に動いた石破氏と麻生氏の溝は今も深いとされ、石破陣営が複数の麻生派議員を通じて会談を要請し、実現した。石破陣営のベテランは「麻生さんが石破氏にも保険をかけたということだろう」と手応えを語った。
国会議員票と地方票が同数配分される1回目投票と異なり、決選投票では議員票の比率が約9割と重みを増す。党内で唯一派閥の存続を決めた麻生派(54人)の支援を求めて「麻生詣で」が相次ぐのは、各候補がまとまった「派閥票」に期待するためだ。
麻生氏は24日に小泉氏、25日には高市陣営で選対本部長を務める中曽根弘文元外相と会談し、26日の石破氏を含めて有力3陣営と3日連続で会談を重ねた。
石破氏は麻生氏との会談に先立ち、二階派(解散表明時38人)の二階俊博元幹事長、小泉氏を支援する菅義偉元首相とも会談。菅氏には、決選投票が石破氏と高市氏の戦いになった場合などを想定し、支援を求めたとみられる。
一方、小泉氏は26日夜、首相官邸で岸田文雄首相と約20分間会談した。
多くの候補が「刷新」を掲げながら重鎮らを頼る動きに対し、自民関係者からは「派閥政治への先祖返りだ」との声も上がっている。【野間口陽、川口峻】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。