兵庫県知事らへの内部告発をきっかけにあり方が問われている公益通報制度について、愛知県一宮市の中野正康市長は、職員からの通報の窓口や、調査を担う委員会の独立性や第三者性を高めるため、これまで担当してきた市の顧問弁護士が関わらない運用に改めることを決めた。10月1日から、これらの役割を、市とは関わりのない弁護士に任せる。
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9月25日の記者会見で明らかにした。新たに、窓口や受理・不受理の判断、調査を任せるのは後藤隆弁護士(65)で、今年2月、名古屋高裁刑事第1部判事を定年退官した。
公益通報窓口は各部局の総務担当や弁護士直通など複数あるが、中野市長は「兵庫県での議論をみると、独立性と第三者性に疑義がもたれている。市とは関係のない弁護士にする」と話した。
中野市長は、兵庫県での内部告発は公益通報に当たるとみている。特に同県の補助金がプロ野球優勝パレードの寄付金にキックバックされた疑いについては、「事実の解明をしっかりやるべきだった」と指摘した。
市での調査は、副市長ら特別職や弁護士らからなる「公益通報委員会」で行うが、ここでも顧問弁護士を外し、後藤弁護士が担う。
市人事課によると、公益通報は2006年度の制度開始以降、同年度に1件、20~21年度に1件あっただけ。1件目は「違法性がない」と判断された。20~21年度は「違法性がある」とされたが、関係職員への懲戒処分はなく、厳重注意などにとどまったため公表していないという。(嶋田圭一郎)
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