自民党総裁選での得票数は、候補者たちの今後の政治力を占うとされる。石破茂元幹事長(67)、高市早苗経済安全保障担当相(63)、小泉進次郎元環境相(43)の上位3人だけでなく、4~9位に終わった候補者たちもさまざまな表情で開票結果を受け止めた。
1回目の投票で65票を獲得し、4位だった林芳正官房長官(63)は記者団に「次の活動に生かしていければ」などとそつのないやりとりをしつつ、満足そうな表情を時折見せた。
林氏は知名度不足という課題を元々抱えていたうえに、石川県能登半島の豪雨災害に現役官房長官として対応するため選挙活動の一時中止も余儀なくされ、陣営は何位で終われるかにやきもきしていた。候補者9人中4位という結果は陣営にとって、次につながる「大健闘」(陣営幹部)だったという。
更に林氏陣営の中核を担った旧岸田派議員の多くは決選投票で石破氏に投票し、石破総裁誕生に一役買ったと林氏の陣営関係者は誇ってみせた。この陣営関係者は、林氏が旧岸田派ナンバー2の座長だったことを念頭に「(論功行賞として林氏に)それなりの待遇を、とは思っている」とも語った。
60票を獲得し5位だった小林鷹之前経済安全保障担当相(49)も意気盛んだった。総裁選後、記者団から次期総裁選への対応を問われると「挑戦します。チャレンジャーですから」と即答した。
他の候補者に先駆けて総裁選への出馬を表明した小林氏の知名度は、総裁選を通じて急上昇。中堅・若手国会議員らからの支持を集め、獲得した国会議員票は林氏を上回る41票。総裁選は今回が初挑戦。年齢的にもまだ若く、「次」に向けての確かな手応えを得たようだ。
47票で6位だった茂木敏充幹事長(68)は「いろいろ反省する部分はある」と神妙な面持ちで語った。茂木氏は候補者の中で唯一の派閥トップ経験者で、現職の幹事長でもある。特に議員票が34票と伸び悩んだことを重く見ている様子だった。
告示日前日に9人目の候補者として名乗りを上げた上川陽子外相(71)は40票で7位。次期総裁選について問われると「どのような形で進めていくべきかよく対話をしながら、一つずつ重ねていくことが大事」と述べた。
河野太郎デジタル相(61)は、決選投票に進んだ2021年の前回総裁選から一転し、30票で8位に沈んだ。麻生派に所属したままだったことが嫌気されたとの見方があるが、河野氏は「派閥が問題だとは思っていない」と記者団に強調。今後の総裁選に向けては「まずは石破総裁のもとで、政策をしっかり進めていけるように頑張っていきたい」と話した。
告示日には、各候補の出馬に必要な推薦人20人が発表されたが、1回目の議員票の開票結果では加藤勝信元官房長官(68)の議員票が20人を割り込み16票だった。合計得票は22票。加藤氏は「いろんな皆さん、事情がある中で、逆に言えばこうやって支えていただいてきた」と語った。【鈴木悟、野間口陽、加藤明子】
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