防衛相や農相などの閣僚を歴任し、「政策通」とも言われる石破茂氏。政策立案を担う霞が関の官僚たちの間では早くも期待と警戒が渦巻いている。
「公共インフラの重要性にも精通している。災害対応のほか地方の移動手段の不足にも関心が高い」
国土交通省の幹部は地方創生担当相などを歴任し、総裁選中に防災省の創設などを訴えた石破氏に期待する。総務省幹部も「地方に交付金を配って終わりではない政策をやるために知恵を借りたい」と前向きだ。
経済産業省の幹部は、11月に大統領選を控える米国との関係を念頭に「石破氏は防衛や外交に詳しいので同志国との連携をしっかりやってくれると思う」とする。
石破氏は総裁選で経済・財政政策について、岸田文雄首相の路線を引き続くと同時に、富裕層や収益を上げている企業への課税強化に言及してきた。そして現政権との違いを「(実現の)スピード」と説明するなど政策の執行加速を掲げる。
ただ近年は閣僚などの要職を外れ、自民党内の基盤が弱い石破氏が主張通りの政策を実現できるかは見通せない。ある経済官庁幹部は「新しい政策を打ち出すには時間がかかるのでは」と距離を置く。財務省幹部も「閣僚から何年も離れており、年内に防衛増税の実施時期を決められるかどうか」と懸念を示す。
石破氏の総裁選中の主張に警戒を示すのはデジタル庁だ。マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」推進に伴い、12月に新規発行を廃止予定の現行保険証について「併用も選択肢として当然だ」としており、「首相の意向次第で方針が変わる可能性もある。説明していく」(幹部)と構える。【杉山雄飛、佐久間一輝、古屋敷尚子、藤渕志保、福富智】
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