石破新総裁は経済政策について、岸田政権の取り組みを継承し、スピードを速めるとして、物価高を上回る賃上げを促すことで個人消費を拡大し、デフレからの完全脱却を目指す考えを示してきました。
総裁選の期間中には「物価高を超える賃金上昇の実現には労働分配率を上げて賃金を上げることがいちばん即効性がある」などと述べていました。
生活必需品の価格の上昇に緊急対策を講じることや、企業の生産性向上の支援などで2020年代に最低賃金を全国平均で1500円にまで引き上げることなどを挙げていました。
石破新総裁がこれから打ち出す経済政策に経済界は期待を寄せる一方、賃上げの実現や、法人税の引き上げの是非などをめぐっては、その内容しだいでは企業などの理解も求められることになります。
一方、石破新総裁は、地方創生を「日本経済の起爆剤」と位置づけ企業の地方進出を後押しし、都市と地方の格差是正を図るとしています。
日本が長く直面してきた都市と地方の課題に有効な手だてを示せるかも焦点となります。
金融政策と金融課税に注目も
金融市場では、自民党の石破新総裁が日銀の金融政策や、以前言及したことがある金融所得課税について今後どのような考え方を示すのかに関心が集まっています。
総裁選が行われた27日は、日銀による金融緩和の継続を訴えていた高市氏が決選投票に進むと、円相場は一時1ドル=146円台半ばまで円安が進みましたが、その後、石破氏が新総裁に選出されるとそれまでの反動もあって一気に円高が進んだほか、日経平均先物は大きく下落しました。
その金融政策について、石破新総裁は総裁選のあと、「日銀と適切に連携しながら日銀が判断することだ」としながらも「政府としては今の経済状況で金融の緩和傾向はなお維持していかなければならないと思う」と述べています。
日銀は経済・物価の状況をみながら段階的な利上げを目指すことにしていて、石破新総裁の姿勢が日銀の金融政策にどのような影響を与えるのか、市場は注目しています。
一方、株式の売却益などにかかる金融所得課税については、石破新総裁が以前言及したことがあることから投資家の間では仮に課税が強化された場合、収益に響きかねないとしてこれまでのところは警戒感が先行する形となっています。
ただ、石破新総裁は「貯蓄から投資への加速をさらに進めたい」と繰り返し述べていて、今後、どのような考え方を示すのかに注目が集まっています。
原発再稼働・賃上げは
新しい総裁に選出された石破氏は、総裁選挙の期間中、エネルギー政策について、AI=人工知能などで今後、電力需要が高まる中で安全を大前提に原発の再稼働を進める必要があるという認識を示しています。
一方で、再生可能エネルギーを最大限、活用したり、省エネを進めたりすることで、結果として、エネルギー全体に占める、原発の比重が下がっていくのではないかという見通しも示しています。
また、総裁選挙にあたってまとめた政策集の中では、物価高を上回る賃上げの実現に向け、人手不足に悩む中小企業が、DX=デジタルトランスフォーメーションを進める際の支援策や、適正な価格転嫁を進めるための下請法の改正などを行う考えを示しています。
さらに、新総裁に選出後臨んだ初めての記者会見では、日本企業が海外に多く生産拠点を設けている点に触れ、経済成長と分配の好循環を生み出すためにも生産拠点の国内回帰を図っていく考えを示しました。
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