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 新たな自民党執行部が発足しましたが、石破茂新総裁は早期解散を打ち出しました。背景に何があるのか、ジャーナリスト・後藤謙次さんの解説です。

■自民党内、すでに不満が表面化か…  まずはスケジュールを見ていきます。30日に石破氏は来月27日に衆院選の投開票を行うつもりだと表明しました。逆算すると来週には衆議院解散が予想されます。  (Q.石破新総裁は「予算委員会で議論を交わし深めた後に国民に信を問いたい」と話していましたが、なぜ解散を決めたのでしょうか?)  今の石破氏は山伏の修業で言う“火渡り”の状況に置かれています。多少やけどはしても、自分の政権を維持するため、とにかくここを一気に突き抜けないと、という心境かと思います。  石破氏自体は、本来は討論をしっかりと行いたい。とりわけ立憲民主党・野田佳彦代表とは一対一の横綱相撲をやりたいという希望がありましたが、スケジュールそのものが自民党の実力者、とりわけ岸田文雄氏のスケジュールなんです。岸田氏が自分が辞めたのは選挙に勝つために辞めたのだと。つまり、高市早苗氏では選挙に勝てない、だから石破氏を支持するという方針を飲んでいたんです。岸田氏は「なるべく早くやらなければ自民党は勝てない」と。  だから岸田氏の意向と、その意向を受けた森山裕幹事長、そして自民党全体の事務局がすでに準備に入っています。これをキャンセルしてしまうと、党として選挙をやれなくなるので、意向をくんでほしいということです。  それから新たな要因として、高市氏や小林鷹之氏といった一緒に総裁選を戦った仲間から人事を拒絶されました。これに呼応して高市氏を幹事長にすべきだったいう声もある。つまり、党内の不満がすでに表面化し始めていて、これを封じるにはやはり選挙しかありません。

 そこで公認権を使って、何らかの手を石破氏が表明することによって、国民の期待に応える道を探るんじゃないかと思います。

(Q.もともと、岸田氏が早めたかったということでしょうか?)

 岸田氏自身の時も、10月4日に総理になり、10月30日の選挙で勝ちました。自分の成功体験からみても、今回こういう状況で間を置かずに選挙をするというのが自民党が生き延びる道だと。

 ただ、石破氏はいろいろな考えを持っていて、とりわけ「政治とカネ」の問題については、国民の不満はよく知り、何らかの気持ちを発信したいという思いもあります。ある種、他と区別した対応を取るのではと思います。

 当面は、石破氏がどのような公認をするか。自身もヤマ場ですし、これだけ党内基盤脆弱な石破氏が生き残るためには、国民・世論の追い風がなければ政権運営もできません。そこの部分で折り合いをつけながら、当面は火の上を渡ってやけどしても、行くしかないと。石破氏は非常に生真面目な人ですから。  石破氏はそこに向き合うと思います。自民党の良識派の代表が、最後の切り札として登場したと言えます。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年9月30日放送)

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