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 なぜ石破茂新総裁はこれまでの持論を曲げてまで早期の解散に踏み切ったのでしょうか。政治部官邸キャップ・千々岩森生記者の解説です。

■2009年、民主党政権時代とオーバーラップ?

(Q.石破氏に何があったのでしょうか?)

 総裁選で石破氏が勝利した、先月27日の夜に、石破氏と接触をする機会がありました。まさに「選挙はいつ頃か」ということを聞いたら、明言はしないまでも「11月10日」という感触でした。ところが、30日の会見で「10月27日」と、2週間早い日付を発表しました。

(Q.先月28日29日に何かがあったのでしょうか?)

 はい、選挙は「11月10日」だと示唆したのが27日(金)です。その翌日の28日(土)に、石破氏は、幹事長に就任する森山裕氏と協議をしました。森山氏は、「総理大臣になればすぐ解散して国民の審判を仰ぐ」と明言していた小泉進次郎氏の陣営の中心人物で、自身も早期解散論者でした。森山氏が石破氏に「早期にやった方が選挙に勝てます」と進言をした。石破氏も納得したというのが真相だと思います。

(Q.27日に投開票、来週には解散となります。そうなると、各党の代表質問と党首討論しかありませんが、これでは石破氏も言っていた「十分な判断材料」にはならないのではないでしょうか?)

 ならないですね。それは石破氏自身も分かっていると思います。もっと言えば、自分が言ってきたことと、今やっていることが違うことも本人は分かっていると思います。

 1日に自民党本部を歩く石破氏の映像を見ると、うつろな表情です。心の中の葛藤、困惑が表情に表れている気がしました。今まで言ってきた立派なこと、正しいこと、国民が納得することと、リーダーとなって選挙に勝たなければいけない現実。理想と現実のはざまで非常に揺れている。この心模様が、表情に表れているという気がしました。 (Q.理想と現実のギャップ、やりたいことはあるけど現実はそうはいかないという状況は今後も続きますか?)

 それを少し懸念しています。石破氏はこれまで「党内野党」と呼ばれていましたが、今回の総裁選で勝利し、まさに与党リーダーになりました。

 2009年の民主党政権時代と少しオーバーラップします。この時も「野党時代に主張していたことと、与党になってやることが随分変わった」と国民の批判を招き、3年で終わってしまいました。

 石破氏も「党内野党」の時に言っていたことと、政権を取った後にやることが違っている。これが2度3度、起きなければ良いなと思います。

(Q.石破氏の理想に国民は期待をしていましたが、自民党内を見てしまってたら意味がない気がします)

 まさにそうなんですが、きょう始まったばかりですので、期待と懸念の両方を持ちながら、石破政権をみていきたいと思います。

 初めて石破氏が「本当の与党」になりました。これからいろんな現実が待ち受けているけれども、どのような政権運営を行うか、注視したいと思います。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年10月1日放送)

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