散歩する保育園児ら=島根県大田市

「厳しい現実を突き付けられた」。人口戦略会議が24日に全国の744自治体で人口減少が深刻化し将来的に「消滅の可能性がある」との報告書を発表したことを受け、該当する自治体には衝撃が広がった。

今回、新たに「消滅可能性」が指摘された自治体の一つ、北海道伊達市の岡村崇央企画財政部長は「とてもショックだ」と語った。高校卒業後の就職先が少なく市外への転出者が多いといい、岡村氏は「Uターン組などを増やすべく魅力あるまちづくりに取り組む」と気を引き締める。

新潟県糸魚川市や山梨県都留市も、新たに消滅可能性自治体とされた。糸魚川市の中村淳一企画定住課長は「(子供を産む中心世代となる)若年女性人口の減少は市の課題として認識していたが、改めて厳しい現実を突き付けられた感じだ」と話す。Uターン促進や若い男女に出会いの場を設けるなどの取り組みをしているが、人口減少になかなか歯止めがかからない。

都留市の担当者も「(今回の報告書に限らず)人口減少傾向ははっきりしており、強い危機感を持っている」。市内に3つある大学の学生が卒業後に定住するよう、企業誘致を通じた雇用の確保などに努める。

地域別では、東北は消滅可能性自治体が165に上り、数も割合も最多となった。青森県の宮下宗一郎知事は報告書について「子供・子育て施策の充実、女性活躍推進に取り組むことの重要性を改めて意識した」などとコメント。今回も消滅可能性自治体とされた青森市の担当者は「人口減少対策はすぐには効果が得られないが、危機感を持って取り組んでいく」とした。

一方で秋田市は今回、消滅可能性自治体から脱却。穂積志(もとむ)市長は「雇用創出や子育てしやすい環境づくり、移住・定住の促進などの施策の展開で(人口)減少ペースの抑制に努めたことで、若年女性人口の減少率が改善した」と分析。ただ、同市の人口は昨年11月に30万人を下回るなど人口減少はなお続いているとして、「持続可能な『選ばれるまち』を目指す」と強調した。

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