衆院本会議で立憲民主党の野田佳彦代表の質問に答える石破茂首相=国会内で2024年10月7日午後1時47分、平田明浩撮影

 石破茂首相は7日の衆院本会議で所信表明に対する代表質問に臨み、新内閣発足後初めての国会論戦が始まった。首相は9日に衆院を解散する方針で、15日公示、27日投開票の日程が想定される。解散前に十分な議論が必要だと述べていた9月の総裁選時の主張との整合性を問われ、「変節したとの指摘は当たらない」などと反論した。野党側は政策面でも首相が就任前の持論を封じて変節したと追及したのに対し、従来の政府見解を繰り返す場面が目立った。

 首相は衆院解散・総選挙について「新内閣の発足に当たり国民の意思を確かめる必要があると判断した」と強調。「引き続き自分自身の言葉で語り、ご判断いただくための材料を提供する」とも語った。

 総裁選で主張していた「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想や、日米地位協定の改定を巡っては「一朝一夕で実現するとは当然思っていない。まずは喫緊の外交・安全保障上の課題に取り組んでいく」などと答弁した。就任前に言及していた金融所得課税の強化も「貯蓄から投資への流れを引き続き推進していくことが重要だ。現時点で具体的に検討することは考えていない」と述べた。

 前向きだった選択的夫婦別姓制度の導入は「さまざまな意見があり、国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、更なる検討をする必要がある」とし、導入の是非について「個人的な見解を申し上げることは差し控える」と言及を避けた。

 憲法改正を巡っては「緊急事態条項のあり方、自衛隊の明記等について活発な議論が行われ、論点整理等が進められてきた」と指摘した上で、「議論の積み重ねを引き継ぎ、後戻りさせることなく前に進める」と強調した。

 一方、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で不記載があった議員らの次期衆院選での公認問題について、「厳しい姿勢で臨み、ルールを守る自民党を確立する」と述べた。ただ、前日の6日に不記載議員を比例名簿に登載しないなどの方針を示していたが、具体的な言及はなかった。

 使途の公開が義務付けられていなかった政策活動費については「将来的な廃止も念頭に、あり方の検討や透明性の確保に取り組む」と述べたものの、「各党各会派との真摯(しんし)な議論を経る」などと語るにとどめた。

 8日は参院本会議で代表質問が行われる。【樋口淳也】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。