■解散めぐり激しい論戦
石破総理に対する各党の代表質問が始まりました。
新総理と新代表。ともに新たな布陣で迎える論戦ですが、『解散』の二文字は、刻一刻と、迫っています。
立憲民主党・野田代表
「総理はずっと、いま解散すれば、勝てるとばかりに解散することは、憲法の趣旨に反するというお考えを何度もこれまで披露してこられました。予算委員会を開いて、与野党で議論をし、そして判断材料を整えてから信を問うべきだと、諭すように言ってたじゃありませんか。総理に就任したら、戦後最短で解散総選挙を行おうとしている。この心変わりは、なぜなんでしょうか」
石破総理
「衆議院解散権の行使について、その乱用を慎むべきことは言うまでもありませんが、今回、新しい内閣が発足したことに伴い、国民の意思を確かめる必要があるとの観点から、衆議院の解散を行うとの判断を致しました」
日本維新の会・馬場代表
「もともと憲法7条に基づく解散については、時の政権に有利になるため、憲法の趣旨に反すると否定的な見解を示していたのに、なぜ豹変したのですか。党執行部に押し切られて、解散を決断したならば、党内野党として筋を通してきた総理も、最高権力を手にした途端に、党利党略で持論を曲げてしまうという、本性が露呈したと受け止めなければいけません」
石破総理
「内閣は、国政上の重大な局面等において、主権者たる国民の意思を確かめる必要があるような場合には、衆議院の解散権を行使することができると考えております。憲法の趣旨にも沿うものだと考え、変節したとの指摘は当たりません」
選挙となれば、党を背負って挑むことになる公認候補。いわゆる“裏金議員”の扱いについては、“原則公認”から一転、一部の議員を非公認とする方針を打ち出しました。
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■“裏金議員の一部”一転 非公認へ公認問題は週末、自民党本部で開かれた選対本部で決まったものです。
安倍重鎮4人や、政倫審に出なかった議員など6人が非公認に。その他、処分された議員全員の比例への重複立候補が認めらません。
非公認となった高木元国対委員長は福井2区から、比例での重複が認められない稲田元防衛大臣は福井1区からの出馬を予定しています。
高木元国対委員長(非公認)
「公認をしていただけないならば、違う形で出させていただくということ。(Q.無所属で)そういうことでしょうね。」
稲田元防衛大臣(重複立候補なし)
「若手で派閥の指示に従っただけという選挙基盤の弱い方々もいる。そういう意味では、非常に厳しい対応だと思った」
このような決断をした議員もいます。
越智衆院議員(重複立候補なし)
「不出馬の判断をしなければならないことは、心から残念でならない」
越智衆院議員は、当選歴5回ですが、最近は連続で比例復活でした。
越智衆院議員(重複立候補なし)
「(Q.一律で比例の重複立候補を認めないのは)私の不出馬の判断は、先週の土曜日から日曜日にかけて、私の気持ちを整理した。石破総理の判断は、石破総理の判断。私からコメントすることはない」
比例との重複が認められないこととは無関係としていますが、次の選挙には出ないそうです。
5日・6日で、報道ステーションで世論調査を行いました。ここに今回の決定の理由がありそうです。
派閥の裏金問題に関係した議員らについて、『公認してもよい』が20%、『公認すべきでない』が66%でした。
比例の重複が認められない小田原議員は、東京21区からの出馬を検討しています。
小田原議員(重複立候補なし)
「(Q.これだけ説明してきたという悔しさはある)それは言いっこなしだよ。言いっこなし。世の中の評価は、自分が決めることではなくて、自分の行動で理解いただく」
9日には解散というタイミングでの今回の決定は、禍根を残しそうです。
閣僚経験者(処分対象)
「総裁選で石破を支持したのに、電話の一本もない。何回、処分する気だ。絶対に受け入れられない」
現場も大変そうです。
自民党・井上都連会長
「きのうは、政見放送の収録が終わったところで、決断をするにせよ、できれば、もう少し早く決断をしてもらいたかった。そういう思いもあります」
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■政活費や選択的夫婦別姓は…政治とカネをめぐっては、使い道を明かす必要のない政策活動費の透明化も積み残された課題です。
自民党・小野寺政調会長
「政策活動費については、国民の皆さまから不信を抱かれないよう、そのあり方については、真摯な検討を行う必要があります」
石破総理
「政策活動費の将来的な廃止も念頭に、そのあり方の検討や透明性の確保に取り組むなど、政治資金の透明性を、さらに高めるための努力を最大限にする」
廃止も念頭にあるとしつつ、具体的な道筋には言及しませんでした。
代表質問での議論は、政治とカネのほかにも及びました。例えば『選択的夫婦別姓』。先月12日、番組に出演したときは「それは“選択的”ということだから、それを否定する理由はないと私は思っているが、結論は早く出した方がいい」と述べました。
ところが7日は。
石破総理
「夫婦の“氏”に関する具体的な制度のあり方については、国民の間にさまざまな意見があり、政府としては、国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、さらなる検討をする必要があると考えているところ。私の立場から個人的な見解を申し上げることは差し控えます」
総裁選で訴えた集団安全保障体制『アジア版NATO』などの本気度も問われました。
国民民主党・玉木代表
「所信表明には、石破総理一番の肝煎りであるアジア版NATOの言及が全くありません。これ、なぜですか。日米地位協定の見直しについての言及も全くありませんでした。早くも、あきらめたんでしょうか」
石破総理
「アジア版NATOにつきましては、これは一朝一夕に実現するとは思っておりません。一国の総理大臣として、まずは、喫緊の外交・安全保障の課題等に取り組んでいく必要があると考えております。日米地位協定に関しましても、これまで私自身の一国会議員としての考えを累次、述べてまいりましたが、これも一朝一夕に実現するとは思っておりません」
共産党は、能登半島の災害対応から、質問を始めました。
共産党・志位衆院議員
「2度目の避難に多くの被災者が苦しんでいます。直ちに補正予算の編成が必要だと考えますが、いかがですか」
石破総理
「補正予算において、能登の地震や豪雨からの復旧・復興にも対応することになるが、予備費の活用により、さらに迅速な対応が可能となります」
公明党・石井代表
「食品価格の高騰が家計を圧迫しており、物価高対策として具体的な取り組みを求めます」
石破総理
「成長と分配の好循環が確実に回り出すまでの間、足元で物価高に苦しむ方々への支援が必要であります。重点支援地方交付金をはじめ、総合的な対応を図ります」
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■内閣支持率42.3% 岸田政権下回る世論調査では、代表質問だけでなく、予算委員会で論戦をしてから解散すべきだと思う人が6割を占めています。
支持率42.3%と、岸田政権の発足時を下回って発進した石破内閣。
次の衆院選の結果については、自公政権の継続を期待する人と、政権交代を期待する人が38%で、同数となりました。
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■石破総理“大転換”の背景“裏金議員”をめぐり、4日の時点では、“原則公認”という方針でしたが、一転、非公認。決断の背景に何があったのでしょうか。
政治部・千々岩森生官邸キャップは、こう分析します。
「解散時期など、石破政権発足後の“ブレ”が世論の批判を招いたこと。全国の“選挙区情勢調査”。都市部の支持が低い、つまり、世論の影響を受けやすい無党派層からの評判が悪かったこと。自民党幹部は『さまざまなオプションの中で石破総理は、最も厳しい選択をした』と驚いていた」といいます。
千々岩さんは、自民党内の現状をこう見ています。
石破総理の決断に対して「裏金問題に関係のない議員からは、評価の声があがっている。党内には、そもそも旧安倍派への不信感が根強く、今回の石破総理の判断で『世論の理解が得やすくなった』とみる議員も多い」といいます。
一方、旧安倍派を中心に反発が強く、それが、石破総理の政権基盤を揺るがす可能性もあるとしています。
「今回の衆院選で、自民党の単独過半数割れなど、厳しい結果となれば、旧安倍派や高市陣営を中心に早くも“石破降ろし”が顕在化する恐れも。石破総理は“大きな賭けに出た”ともいえる」と分析します。
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