石破茂首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が7日、衆院本会議で行われた。石破内閣発足後初の国会論戦。立民の野田佳彦代表は自民派閥の裏金事件を受けた衆院選対応など「政治とカネ」の問題への対応の甘さや、首相の発言が総裁選での主張から後退していることを追及。首相は歯切れの悪い答弁に終始した。

衆院本会議で代表質問する立憲民主党の野田代表(左)と答弁する石破首相(右)=7日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 首相は6日、政治資金収支報告書に不記載があった裏金議員を巡る衆院選での対応を発表。4月の自民党処分で「選挙での非公認」より重い処分を受けた議員だけでなく、より軽い処分だった一部議員も非公認の対象にする方針を示した。  野田氏は、首相が示した対応方針では、より軽い処分で非公認となる裏金議員は萩生田光一元政調会長ら一部にとどまると指摘。「(4月に処分を受けた議員の)大半が公認される。本当に国民の理解が得られるか」と批判した。  また、4月の党処分後も、有権者への香典配布の原資に裏金が使われた疑惑が新たに浮上したことなどを踏まえ、再調査を迫った。  首相は「公認に向けた手続きを進めているところで、現時点で具体的に確定していない」と説明を避けた。再調査も「適切に判断する」と話すにとどめた。  1990年以降に就任した自民党の首相は菅義偉氏を除き全員が世襲議員であることについて、野田氏は「さすがに偏っている」として、世襲制限に関する考えを質問。自らも世襲議員の首相は「議員の政治活動のあり方と密接に関わる問題で、まずは国会で議論いただくべきものだ」と明言を避けた。
 首相の過去の発言や自民党総裁選での主張が後退している点も議論となった。  立民の吉田晴美氏は選択的夫婦別姓制度を巡り、首相が過去に「選択的に姓を選べるべきだ」と発言していたことを紹介した上で、「必ず実現するという強い決意と、次の国会でやると明言して」と迫った。首相は自身の考えは示さず「国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、さらなる検討をする必要がある」と従来の政府見解を繰り返した。  日本維新の会の馬場伸幸代表は、首相が総裁選で衆院解散前の予算委員会の必要性に言及したのに開催しなかったことを批判。首相は「新しい内閣が発足したことに伴い、国民の意思を確かめる必要がある。変節したとの指摘は当たらない」と開き直った。(川田篤志、坂田奈央) 

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