石破茂首相(自民党総裁)と野党党首による党首討論が9日、国会で行われた。首相は衆院解散について「私どもが政権を担うことが最も肝要だ。正々堂々、国民の審判を仰ぐ」と表明。立憲民主党の野田佳彦代表は自民派閥の裏金事件を踏まえ、「裏金隠し解散ではないか」と追及した。

野田氏は9日が会期末の臨時国会を延長し、能登半島の被災地復旧に向けて2024年度補正予算案を成立させるよう求めた。首相は「補正審議を逃げているつもりはない。能登を置き去りにするつもりは全くない」と強調しつつ、予備費で対応する考えを示した。

野田氏は、政治資金収支報告書に不記載があった議員らを「裏金議員」と表現し、自民が12人の非公認を決めたことに関し「大半が公認ではないか」と批判した。首相は「裏金というのは決め付けだ」と反発し、公認について「厳正な議論をした」と主張した。首相は「最終的な判断は主権者たる国民にお任せする」と語った。

野田氏は事件の再調査や旧安倍派の元幹部らに対する証人喚問を迫ったが、首相は「再調査は否定するものではない」などと述べるにとどめた。

日本維新の会の馬場伸幸代表は裏金議員の公認問題を巡り、来年の参院選でも「同じ物差しで決めるのか」とただした。首相は「違う対応をすることはない」と説明。共産党の田村智子委員長は賃上げに向け「中小企業への直接支援が不可欠だ」と訴えたが、首相は「社会主義国ではない」と否定的な考えを示した。

国民民主党の玉木雄一郎代表は衆院選で政策活動費を使用しないよう要求。首相は「適法な範囲内で、使う可能性は否定しない」と話した。

党首討論は通例45分だが、野党の要求を踏まえて1時間20分に延長された。

党首討論で石破茂首相(中央左)に質問する立憲民主党の野田佳彦代表(同右)=9日午後、国会内

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