衆議院は10月9日に解散し、事実上の選挙戦が始まりました。

 解散の引き金となった「裏金問題」について、北海道民はどのように受け止め、候補予定者はどのように訴えるのでしょうか。

 戦後最短、異例の首相就任から8日での解散となった衆議院。

 裏金問題に揺れる自民党では、北海道5区の前職、和田義明氏が公認されたものの、比例との重複立候補は認められませんでした。

 「厳しい判断だと思うが、自分の不手際は事実。厳粛に受け止めてベストを尽くす。これしかできない」(自民党 和田義明氏)

 公認をもらえなかった仲間を思い、涙ぐむ場面もあった和田氏。

 解散から一夜明け、まず訪れたのは、前回選挙で多くの支持を集めた千歳市にある陸上自衛隊・東千歳駐屯地前でした。

 「とにもかくにも厳しい選挙で、劣勢からのスタートです」(和田氏)

 990万円の不記載があった和田氏。

 問題発覚後、政治資金収支報告書は収入は訂正したものの、支出の訂正はまだでした。

 「過去5年のエビデンスをできる限り集めた。提出する以上は不明、不明ではなく、できるだけ的確に示さなければいけない。ちゃんと領収書などもつけて9日に提出させていただいた」(和田氏)

 裏金は政治活動のみに使用したと明言する和田氏。

 支援者らを回りながら謝罪を続ける日々に、これまでとは異なる厳しさを感じると言います。

 「いま分かっているのは、今までの選挙の中で空気感としては1番厳しいのは間違いない」(和田氏)

 和田氏は、8年を超える議員活動の実績や経済対策などを訴え、信頼回復に努めています。

 「短い期間、できるだけ多くの方々に会って誠心誠意おわびをしながら、自分の熱意を話してご理解をいただく。これしかない」(和田氏)

 「おはようございます」「いってらっしゃい」(立憲民主党 池田真紀氏)

 JR恵庭駅前で、市民にあいさつするのは、和田氏の対抗馬として立候補を表明している立憲民主党の元衆院議員、池田真紀氏です。

 通勤・通学する市民にチラシを配り、無党派層に支持を訴えています。

 池田氏が、一貫して主張するのは、自民党の裏金問題です。

 「裏金問題が発覚し、解明がされないまま、このような解散を打ったわけです。政治資金規正法の組織的に長年にわたる意図的な不記載、これはもう法律違反なんです」(池田氏)

 解散前、自民党内でいわゆる「裏金議員」の非公認問題が、取り沙汰されましたが、和田氏は公認されました。

 池田氏は和田氏自身が、判断すべき問題だとしつつ、これまでと違う雰囲気を感じているといいます。

 「裏金問題について(選挙区内の有権者は)だんまりの姿勢を感じている。裏金問題を解明することなく逃げ切り、こんな今の国を変えなければならない」(池田氏)

 北海道5区には共産党の候補も出馬を表明。

 与野党の一騎打ちだった構図が一転しました。

 「選択肢が多い方がいいとは一国民としては思う。ただ、政権選択の衆院選挙ですから、小選挙区でどうしたら自民を利さないかというのは有権者の判断に期待したい」(池田氏)

 道5区には共産党の新人、鈴木龍次氏も立候補を表明しています。

 裏金問題に揺れた選挙区はもう一つ。胆振・日高の北海道9区です。

 「誠に申し訳ございませんでした」(元衆院議員 堀井学氏)

 約2200万円の裏金を受け取っていた堀井学氏。

 衆議院選挙への不出馬表明後、公職選挙法違反も明るみになり議員を辞職しました。

 「『地域を変えていくには”よそ者・若者・変わり者”」という言葉が有名だが、いずれも(自身に)当てはまると思っている」(松下氏)

 堀井氏の後任、自民党の松下英樹氏。広島県出身の34歳です。

 党から公認されたのは解散した10月9日。

 これまで東京のコンサルタント会社と登別市の観光関連会社の経営者でした。

 課題は知名度不足で、地元選挙区の関係者へのあいさつでも…。

 「(苫小牧)東高校の後輩だって?いや違う。違うのか?」(事務所でのやり取り)
  
 異例の短期決戦に向け、初めてマイクを握ったのは5日でした。

 「苫小牧には立派な港があります。経済をさらに良くして、皆さんの雇用、そしてさらなる賃上げを目指して参ります」(自民党 松下英樹氏)

 人生初の演説では裏金問題には触れませんでした。

 「私自身としては私自身の抱負を語る、その思いだけでした」(松下氏)

 民間感覚を生かし、クリーンな政治を目指したいと訴えます。

 「私は銀行員からキャリアをスタートさせて、法令順守、コンプライアンス順守は当たり前だと思っている」(松下氏)

 「国会にいる80人以上いる国会議員が、いわゆる『裏金』という法的にも問題があるような会計処理が行われていた」(立憲民主党 山岡達丸氏)

  一方、9区で立憲民主党の前職、山岡達丸氏。

 記者から転身し3期務めました。

 政治とカネの問題で揺れる選挙区だからこそ議席を維持する意義を強調します。

 「この地域(胆振・日高)は公職選挙法違反の舞台になった地域だ。この地域からどういう結果を出せるか、大きな結果を出せるか、ということは、非常に意義のあることだと思っている」(山岡氏)
 
 胆振の白老町の祭りに参加した山岡氏。

 知名度は高く、多くの有権者から声がかかります。

 「選挙近いから…頑張ってください。達丸!頑張れー」(有権者とのやり取り)

 「政治を変えてほしい」と背中を押されている山岡氏。

 与党の裏金対策は「中途半端だ」と指摘します。

 「バタバタした中での議論でなんとなく(政治資金規正法改正を)やってしまって、これで(自民党の裏金問題が)解決したということではない。じっくり腰を据えて、どういう形でやっていくべきなのかというのはもう一度、議論した方がいい」(山岡氏)


 道9区には共産党の立野広志氏も立候補を予定しています。

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