辞職願の同意案が市議会に反対多数で否決され、険しい表情を浮かべる名古屋市の河村たかし市長(右)=名古屋市中区で2024年10月11日午前10時58分、真貝恒平撮影

 衆院選(15日公示、27日投開票)への出馬に伴う名古屋市の河村たかし市長(75)の辞職願について、市議会は11日、「任期を半年残して辞職するのは無責任」など反対多数で否決した。これにより、河村氏は辞職扱いとならず、衆院選公示の15日に自動失職となる。円満な形での辞職を望んだ河村氏だったが、これまで対立を続けてきた議会との溝は最後まで埋まらなかった。

 本会議の討論では自民、民主、公明の各主要会派から、来年4月の任期満了前の辞職することに批判が出たほか、「名古屋城の木造復元事業など課題は山積みの中、『(市長を)やりきった』と言うのはおかしい」など疑問の声が上がった。

 辞職願の同意には議会の過半数の賛成が必要だが、採決の結果、定数68のうち約7割を占める自民、民主、公明の3会派(計49人)が反対し、否決となった。

 辞職願を巡り、河村氏は当初、11日付で辞職する意向を示していたが、議会側は「(定例議会中に)職を投げ出すのは議会軽視」などと反発。河村氏は一時、辞職願を出さずに衆院公示日の15日に自動失職すると明言したが、「議会と向き合うのを避けるのか」との批判を受け、最終的に14日付の辞職願を市議会議長に提出していた。

 市議会の田中里佳議長は11日、河村氏の辞職願を市選挙管理委員会に通知。公職選挙法では、通知の翌日から50日以内に市長選が行われる。

 河村氏は衆院瀬愛知1区から、自身が共同代表を務める日本保守党の公認で出馬を予定。愛知1区には他に自民党現職の熊田裕通氏(60)、立憲民主党現職の吉田統彦氏(49)=比例東海、日本維新の会新人の山本耕一氏(47)が立候補の準備を進めている。【真貝恒平】

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