自民党は11日、衆院選(15日公示、27日投開票)の第2次公認を公表した。前回選は比例中国ブロックの単独候補だった杉田水脈前衆院議員は入らなかった。杉田氏は衆院選の立候補を見送り、来年夏の参院選を目指すとみられる。

 安倍派の杉田氏は派閥の裏金問題で、計1564万円が政治資金収支報告書に不記載だったとして、4月に役職停止6カ月の処分を受けた。

 石破茂首相は不記載があった議員のうち、小選挙区の議員については比例代表との重複立候補を認めない方針を6日に決定。一方、比例単独で当選している議員の対応が焦点となっていた。

 杉田氏が所属する山口県連は7日、党本部に公認申請をしたが、9日公表の1次公認からは外れていた。森山裕幹事長と小泉進次郎選挙対策委員長は10日夜、党本部内で協議。杉田氏本人からも意向を聞き、比例名簿に入れない方針を決めた模様だ。杉田氏は周辺に、来年夏の参院選に立候補する考えを伝えている。

 杉田氏は、2012年の衆院選で日本維新の会から出馬し、初当選。14年は落選したが、17年と21年の衆院選は自民党公認を得て、比例中国ブロックで当選した。比例名簿の登載にあたり、関係が近い安倍晋三元首相が強く推したとされる。

 杉田氏をめぐっては、過去に差別的な言動が何度も騒動になってきた。2016年、国連での会議について、自身のブログで写真とともに「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「存在だけで日本国の恥晒し」などと投稿し、その後撤回。昨年、SNSへの同様の投稿を含め、法務省や札幌法務局が「人権侵犯」と認定した。

 これに対し杉田氏は、「差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた」「私は差別をしていない」と主張する動画をSNSに投稿。再び批判を浴びた。

 20年、党の会議で、性暴力の被害者支援をめぐり「女性はいくらでもウソをつける」とも発言。18年には月刊誌で同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がない」と寄稿し、問題となった。

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