日本と英国、イタリアで共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出管理などを担う政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」の設立に関する条約の承認案が25日、衆院本会議で審議入りした。政府が武器輸出ルールを改定し、国会に諮らないまま輸出解禁を閣議決定したことを受け、質疑では野党から批判が相次いだ。(川田篤志)

◆ルールは国会抜きで変えた…今回は関係する「条約」の承認案審議

 GIGOは、次期戦闘機の製造を効率的に行うとして、各国の共同企業体との契約を一元的に担う。承認案には、第三国へ販路を広げ、戦闘機を量産することで生産コストを抑えるため「輸出を可能な限り支援する」と明記されている。  共産党の宮本徹氏は「国際紛争を助長する殺傷兵器の輸出方針は撤回すべきだ」と主張した上で、次期戦闘機の開発費用の総額が示されていないことを問題視。膨張する費用を回収しようと輸出拡大に突き進む可能性を指摘した。  木原稔防衛相は、現時点で開発費の総額見積もりは示せないとした上で、「開発費回収のための輸出にのめり込むとの指摘は当たらない」と反論。上川陽子外相は、第三国へ輸出する際は「現に戦闘中の国には認めず、国連憲章の目的と原則に沿った使用を義務付ける国際約束の締結国に限る」と主張したが、輸出後にその国が紛争当事国となり、戦闘機が使われる懸念については答弁しなかった。

◆「日本の基本政策を与党の密室協議だけで転換すべきではない」

衆院本会議で質問する立憲民主党の篠原豪氏(千葉一成撮影)

 立憲民主党の篠原豪氏は、国会審議を経ずに与党協議だけで輸出解禁を決めたプロセスについて「平和国家としての日本の基本政策を与党の密室協議だけで転換すべきではない」と訴えた。  政府は3月26日、防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、輸出解禁を閣議決定した。GIGOは2024年度中に英国に本部が設置され、初代トップの首席行政官には日本人が就く予定。戦闘機は2035年の配備を目指す。 

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