衆院選公示を15日に控え、与野党の7党首は12日、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、自民党派閥の裏金事件を巡る「政治とカネ」や、消費税のあり方などについて議論を交わした。石破茂首相(自民党総裁)は、米国の核兵器で相手の攻撃を思いとどまらせる核抑止について「(日本が)依存していることは間違いない事実だ」と主張し、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加には慎重な姿勢を示した。

◆核禁条約、共産は「批准」主張、立民と公明は会議参加に前向き

討論会を前に握手を交わす各党党首。左から、国民民主党の玉木代表、公明党の石井代表、立憲民主党の野田代表、自民党総裁の石破首相、日本維新の会の馬場代表、共産党の田村委員長、れいわ新選組の山本代表(坂本亜由理撮影)

 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞が決まったことを受け、立憲民主党の野田佳彦代表は核廃絶に向けて同条約の締約国会議に「オブザーバー参加すべきだ」と訴えた。与党である公明党の石井啓一代表も賛同し、共産党の田村智子委員長は同条約の「批准」を主張した。一方、首相は「核抑止力を認めながら、核兵器の廃絶(を目指すこと)が両立可能なのか、検証は必要だ」と述べ、違いが鮮明になった。  物価高対策を含む経済政策を巡り、野田氏からアベノミクスの総括を求められたのに対し、首相は「コストカット型の経済にしたのがよくなかった。個人消費が上がっていかなければならない」と語った。  消費税について、首相は「社会保障には安定した財源が必要だ」として減税に反対の考えを示した。野田氏は、税額控除や給付を組み合わせて実質的に消費税の一部を還付する「給付付き税額控除」の導入を主張。れいわ新選組の山本太郎代表が「個人消費が減れば世の中にお金が回らない」と廃止を求め、国民民主、維新、共産の各党トップも消費税減税などを訴えた。

◆立民・野田佳彦代表「自民党トップが代わっても政治は変わらない」

衆院選公示を控え、日本記者クラブ主催の討論会に出席する(左から)国民民主党の玉木代表、公明党の石井代表、立憲民主党の野田代表、自民党総裁の石破首相、日本維新の会の馬場代表、日本共産党の田村委員長、れいわ新選組の山本代表(坂本亜由理撮影)

 「政治とカネ」に関連し、国民民主党の玉木雄一郎代表は、使途が不明確な「政策活動費」について自民党が公約で「廃止を念頭に見直す」とあいまいにしている点を追及すると、首相は「現行法制では合法だ」と今回の衆院選で支出する方針を改めて示した。  選挙の争点として、野田氏や石井氏、田村氏らが政治改革に言及。野田氏は「自民党のトップが代わっても政治は変わらない」と政権交代を訴え、衆院選の目標を「自公の過半数割れ」に設定した。首相は「状況が極めて厳しいことは肌身に染みている」と自公の過半数維持を目標とした。 

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