衆院選の公示を15日に控え、与野党の7党首は12日、日本記者クラブ主催の討論会に臨んだ。石破茂首相(自民党総裁)は、日米地位協定の見直しについて「どんなに大変か分かっているが、諦めてはいけない。必ず実現したい」と明言。立憲民主党の野田佳彦代表は、政府が石川県・能登地方の復旧復興で予備費からの充当を繰り返していることを「乱用」と批判した。
首相は日銀の金融政策に関し「期待を申し上げることはある」と述べた。選択的夫婦別姓制度について「結論を出す。いつまでも引き延ばすことはしない」と強調。政党が議員に支出する政策活動費に関し「現行では合法で、違法な使い方はしない」としつつ、「廃止は将来的にあるべきことだし、国会で議論したい」と語った。
野田氏は予備費に関し、「被災者に見通しを明らかにするのは補正予算だ。乱用は財政民主主義に反する」と指摘。公約に消費税減税を盛り込まなかったことについて「仮に政権を預かっても(衆参)ねじれ国会で自民と公明党が認めてくれない」と説明し、困窮者支援を急ぐには給付と減税を組み合わせる「給付付き税額控除」が望ましいとの認識を示した。
日本維新の会の馬場伸幸代表は公約で消費税8%への引き下げを明記したことに関し、「物価高に賃上げが追い付いていない。今のやり方で結果が出ていないから新しいやり方で消費を刺激する」と主張。公明党の石井啓一代表は政治改革に触れ「政策活動費の廃止を目指し、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革も進めたい」と述べた。
共産党の田村智子委員長は日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞が決まったことを踏まえ、「被爆者が切望する核兵器禁止条約に日本政府も批准すべきだ」と唱えた。国民民主党の玉木雄一郎代表は「減税と現役世代の社会保険料負担の引き下げで若者の手取りを増やす」と語った。
れいわ新選組の山本太郎代表は「不景気と物価高で大胆な経済政策が必要だ」として、消費税廃止や社会保険料の減免、現金給付を訴えた。
党首討論会で意見を交わす立憲民主党の野田佳彦代表(左)と石破茂首相(自民党総裁)=12日午後、東京都千代田区
討論会を前に握手を交わす各党党首。左から国民民主党の玉木雄一郎代表、公明党の石井啓一代表、立憲民主党の野田佳彦代表、石破茂首相(自民党総裁)、日本維新の会の馬場伸幸代表、共産党の田村智子委員長、れいわ新選組の山本太郎代表=12日、東京都千代田区
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