自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の実態解明がされないまま、衆議院は解散された。15日公示、27日投開票される衆院選。滋賀県内の有権者からは「今回の選挙は裏金問題に尽きる」という声が上がり、「政治とカネ」への対応が大きな争点になりそうだ。裏金事件に対し、県内3小選挙区の有権者たちは何に憤り、不信感を抱いているのか。そして今後、どういった政治家を求めているのかを聞いて回った。【まとめ・飯塚りりん】
「(お金を)何に使うかをはっきりしてくれないと国民も納得しない」と話したのは大津市の20代の男子学生。カネの流れが明確になることを求める声が多かった。
物価高騰などが日々の暮らしに影響を与えている中での問題に憤りを隠さない人が少なくなかった。東近江市のカフェ店長の女性(35)は「岸田文雄政権でも発足後間もなく解散、総選挙だった。物価や教育費は上がる一方で生活は苦しい。裏金問題にふたをして政権維持に走る石破(茂)首相は許せない」と語気を強めた。
自民の対応に首をひねる有権者も。長浜市の主婦(56)は「裏金議員は通り一遍の説明しかしていない。自民党もしっかり追及しきれていないし、追及する機会を失ったように感じる。石破首相が裏金議員の比例との重複立候補を認めないと言っているが、まだ甘い」。
多賀町の農業法人社長、横森元一さん(43)は一度は自民に頼もしさを感じただけに落胆は大きいようだ。「アベノミクスの時代には農業の成長戦略などに期待もあったが、自民党旧安倍派が裏金事件の震源となり、失望している。国会議員も身を切る改革をして、日々汗を流す我々に報いてほしい」
前述の長浜市の主婦は、「どの政治家も選挙の時は口ばかりで、一体、誰に投票したらいいのか、どこの党に入れたらいいのか、投票所に足が向かない。結局、自民党になって今まで通りの政治が続いていくのだとあきらめている」と嘆いた。初めての選挙だという草津市の女子大生(19)は「そんなにお金を集める必要があるのかな。税金なのでしっかりしてほしい。投票に行きたいが誰がその辺、ちゃんとしてるんですか」と冷めた表情で話した。
大津市の公務員女性(30代) 求めがあった時に(使い道を)すばやく開示してくれる候補者がいい ◇大津市の男性会社員(33) 裏金問題だけを選挙の争点にしてもらっても困るが、今後、裏金問題を指摘されたら「即やめます」と宣言するくらいの人がいい。こっちは物価高で大変なんだから
草津市の女子大生(21) 裏金と言うが横領みたいなもので、もっと厳しく取り組んでほしい。記載ミスとか言ってて甘い。清廉潔白は求めたいが、政治や選挙にお金がかかるのも分かる。受け取る側だけでなく、利益誘導を求めるお金を出す側にも厳しく対応できる人がいい ◇草津市の男性会社員(55) 野党でも似たようなことしてる人はいるし、自民党だけの問題ではなく、政治家全体で取り組んでほしい
近江八幡市のパート女性(67) 処分を受けた人が当選した後に結局許されてしまうのがやるせない。立候補を見送るぐらいしてくれたらいいが。(お金の)使い方や収支報告がいいかげんな人はダメで、お金に関しては堅すぎる人の方がいい
長浜市の無職男性(77) 対応はまだまだ不十分で、裏金議員は地元の人たちにもしっかり説明する必要がある。結局、今回の選挙は裏金問題に尽きる。裏金やお金の問題をきちっとしてくれる人ならほかの問題もちゃんとやってくれると思える
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