政権選択の選挙、衆議院選挙が15日に公示されます。7党の党首に、それぞれの政策、政権戦略を聞きます。
■政治が信頼されない 何が足りない
今回の選挙、避けて通ることのできないのが、まん延する政治不信です。自民党議員による政治資金収支報告書への不記載の問題、いわゆる裏金問題。それが大きく影響を及ぼしているものとみられますが、果たして、それだけなのか。このようなデータもあります。
朝日新聞の世論調査によりますと『政治をあまり信頼していない』『全く信頼していない』が7割を超えています。
(Q.まず最初は、立憲民主党の野田さんにうかがいたいと思います。なぜ、ここまで政治は信頼されないのか。自民党、そして野党のあり方も含めてお答えください)立憲民主党・野田佳彦代表
「今日的な問題でいえば、通常国会の間に、裏金問題に対して、解明をして、けじめをつけて、これからどうするという法改正をしっかりやると。それができないまま臨時国会に入ってしまって、それができないまま解散になってしまったということが、一番、信頼を損なっていると思います。そういう腐敗を生み出したり、独善を生み出したりしたことは“一強多弱”という今の政治状況だと思います。多弱な状況が腐敗も、あるいは、独善も作っているというわれわれの責任があると思いますので、緊張感のある政治状況を作ることが、腐敗をなくしたり、独善をなくしたり、国民の信頼に足る政治を作る第一歩だと思いますので、そこは自覚していきたいと思います」
(Q.日本維新の会の馬場さん、同じ質問ですが、どうでしょうか)
日本維新の会・馬場伸幸代表
「お金の話が一番大きいと思います。それと国民は、政治家に対して、言ったことをやらないでしょと有言不実行と見ていると思うんですね。石破さんも、総裁選、またその前には国民的な人気が非常に高いといわれていました。私も拝見させていただいていて、筋の通ったお話をされるし、党内野党というポジションで、ぺーぺーの議員では言えないようなことを、ビシバシと仰って、それが大きな期待を集めておられたと思いますが、総理・総裁になられて、少し変遷がみられるのではないかというような部分があります。ですから、きちっと総裁選挙のときに約束したことは、やっていただくということが、政治全体に対する信頼を取り戻すというところもあると思いますし、お金の問題は、きちっと、それぞれの政党が有言実行でやると、我が党は政策活動費について廃止にしました旧文通費の領収書も公開しています。企業団体献金も禁止をしています。言ったことはやるということが、信頼を取り戻すことになると思います」
(Q.石破さん、政治不信のもととなったのは、やはりお金の問題じゃないかと。有言不実行ではないかという批判がありました。どうでしょうか)
自民党・石破茂総裁
「今度も不記載の問題は、我が自由民主党として、全体の問題だと思います。この人がどうとか、派閥がどういうこともあるけれど、自由民主党全体の問題です。総裁たる私が深くおわびを申し上げます。一強多弱のせいなのか、そのせいにするつもりはないんだけど、『これはおかしいよね』と、きちんと言える党に、これからしていかないといけないと思っています。我々を議員の立場において下さったのは有権者ですから、そういう方々に誠実に向き合っていく。そして、国民が政治を信頼してないけど、じゃあ政治は国民、信頼してますか。どうせ分かんないよとか、そのうち忘れるよとか、そういう不誠実なことがあってはなりません。私たちは本当に国民を信頼して、受けなくてもなかなかご理解いただけなくても、言うべきことをきちんと言うと。国民を信じない政治が、国民から信用してもらおうなんて思ってはいけません。私たちは、そうありたい、そういう政党になります」
(Q.共産党の田村さん、同じ質問です)
共産党・田村智子委員長
「これ一般論にしてはいけないと思うんですね。今回の、それだけの政治不信を生んだ一番の原因は、やはり裏金で、私たちは、新聞赤旗の独自の調査、誰もが見られる資料だけれども、独自の調査で、裏金を暴いて『これを許さない』と、徹底究明するという役割を果たしてきました。いわば政治の信頼回復すると。それだけじゃない。やっぱり安倍・菅・岸田政権3代の政権は、『桜を見る会』もありました。学術会議の任命拒否の問題もありました。すべて私たちは、こうした不正を許してはならないということで、真相究明の先頭に立ってきた。やっぱり政治の信頼回復させるために、小さな政党かもしれないけどその力を発揮してきた。もっと大きくしていただいて、政治に信頼を取り戻していきたいと思います」
(Q.国民民主党の玉木さん、どうでしょうか)
国民民主党・玉木雄一郎代表
「政治の世界には、非公開かつ非課税のお金があるんですね。大きく2つですよ。旧文書交通費と政策活動費。我々は裏金問題が発覚する前から、旧文通費については、公開をして、そして政策活動費を廃止している唯一の政党、国民民主党が。我々は、まず身を正してから、今回の改革に臨んでいます。そのうえで、石破総理に聞きたいのは政策活動費。党首討論を10月9日にやった時に『選挙で使いませんね』と聞いたら、『使います』と仰った。ただ、13日のテレビでは『使わない』と言っていて、何で変わったんですか。わずか数日間で。信頼できるんですかね。配る人に配り終わったから、もう配らないと言ってるんですかね。選挙で、みそぎをするということなんですけど、この選挙が公正じゃなければ、同じルールで戦わなければ、信頼回復しませんから。ここは明確に石破総理に答えてもらいたい」
(Q.最後に石破さんにお聞きしましょう。山本さんはどうでしょうか)
れいわ新選組・山本太郎代表
「政治は、宗教やアイドルじゃないので、信じる対象ではないと思っています。信頼する対象ではないと思ってます。けれども一方でやっぱり投票率が下がるということだったりとか、皆さんと距離があるというのは、やはり30年、先進国の中で、ただ1つ経済が悪くなり続ける国。こんなものを信頼できるはずもないですね。国民は貧困化してますし、そして一部のものだけより富める状況になっていると。それどころか裏金、ネコババですよ。普通の社会で考えたら、200円の豚バラロース盗んだだけでも逮捕されてますから。一方で彼らは、首も切られず、金も返さずみたいなことが当たり前にある。当然、信頼に値するものではないだろうと思います
(Q.与党の立場から公明党・石井さん)
公明党・石井啓一代表
「やっぱり政治とカネの問題が大きいと思いますね。今回の不記載の問題は、ルールがなかったわけではなくて、ルールはあったんだけど、それがしっかり守られなかったことが、一番、本質的な問題です。今回、政治資金規正法を改正しましたけれども、罰則を強化する。なおかつ政治家の責任を明確化、厳格化するということで、いわゆる連座制の導入を図っています。また、政治資金の透明化も図っています。実効性あるものにしていくことが重要だと思います。特に、政治改革の星となるのが、政治資金を厳しくチェックする第三者機関。これは設置が法律に位置付けられてますけれども、時間がなかったため、その制度設計は検討事項になっています。我々は、閉会中も議論しまして、10月4日に中間報告として公にしてますから。第三者機関をしっかりと設置をして、それを厳しくチェックをしていくということを実現したいと思ってます」
(Q.石破さん、政策活動費などを使うか使わないのかといったあいまいな点がありましたけれどもいかがですか)
自民党・石破茂総裁
「政策活動費を選挙に使うことはいたしません。そして、政策活動費というのは、日ごろから、党勢の拡大あるいは、組織の強化、政策の徹底、そういうことに使っていました。特に、今回、自民党の体制は変わったもので、新しい党のあり方とは何なのか、そして新しい政策とは、何なのか。分かっていただくために、それは使わせていただきます。日ごろも、それは合法なんだけども、その使い方は抑制的であらねばならないと思っております。選挙に使うことはいたしません」
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■“核兵器ない世界”どう考えるテーマを移したい。次のテーマは核の問題です。
先日、日本被団協がノーベル平和賞を受賞することが決まりました。
日本被団協代表委員の箕牧智之さん(82)は「平和が一番だから核兵器をなくせ、と言いたい。来年3月に開かれる条約には、核の傘の下にいるドイツでさえ、オブザーバー参加すると言っているから、日本も、最低オブザーバー参加していただきたい」と述べました。
箕牧さんが言っているのは、2017年に採択された『核兵器禁止条約』のことです。唯一の被爆国である日本は、これを批准していませんが、せめて来年3月の締約国会議には、オブザーバーとしてでもいいから、日本政府も参加してほしいと言っていました。
(Q.与党の石井さんから聞きたいです。オブザーバーとして参加してほしいという声、どうでしょうか)
公明党・石井啓一代表
「核兵器禁止条約は、核兵器を初めて違法として、禁止した画期的な国際法だと私たちは高く評価しています。ただ、現実問題として、日本周辺には核を持つ国がたくさんあって、やはり米国の核抑止力に依存している。そういう状況と、将来的に唯一の被爆国として、やはり核兵器廃絶を目指す。理想との超克といいますか、そこがやっぱり一番大きな課題だと思うんですけれども、私たちは、やはり唯一の戦争被爆国として、日本は核兵器を持つ国と、持たない国との橋渡し役をやるべきだ。そういう意味からも核兵器禁止条約の締約国会合には、オブザーバー参加をすべきだという立場です。このことは従来から政府にも申し上げているところです」
(Q.野田さんはいかがですか)
立憲民主党・野田佳彦代表
「今回の受賞は、すばらしいことであって、ウクライナでも中東でも核を使うぞという威嚇が出ているときで世界に対するメッセージという意味で、意義があると思います。そのなかで、世界で唯一の被爆国である日本の立場というのは、確かにアメリカの核の傘の中で守られている核抑止という現実があります。一方で、核廃絶の先頭に立たなければいけない立場。その橋渡し役という言葉がありましたけど、その通りであって、だから議論にはやっぱり日本が出ていって、オブザーバー参加して、その間隙をどうやって狭めていくことができるかということは、日本が主導的な役割を果たすべきだと私は思います」
(Q.石破さん、来年3月、オブザーバー参加される意思はお持ちですか)
自民党・石破茂総裁
「それは党でも政府で検討はいたします。ただ、今回、なんでウクライナで抑止力はきかなったんですか。何でウクライナ、ロシアに攻め込まれたんですかと考えたときに、クリミア侵攻のときに、きちんと制裁をしなかった、いろんなご議論はあります。一方において、ブダペスト合意というのは、ウクライナが核放棄しましたね。ロシアに渡しましたね。仮に、どっか侵略する国があったら、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国。そういう国連の常任理事国が安保理に提訴をしますよと言ったんだけど、何の意味もなかった。日本が周り中、中国であり、ロシアであり、北朝鮮であり、核を持った専制独裁国家がある中にあって、どうやって我々は日本の独立性を守るかというときに、やはり核抑止力があるんです。それを認めておきながら、一方において、核廃絶。これをどうやってオブザーバー参加をして、きちんと説得ができるかという理屈がないと、単に参加しただけってことになってしまいますね。そこにおいて、本当にきちんと立論ができる。そして、周り中、核保有国だらけのとき、どうやって日本の独立と平和を守るか。嫌なことだけれども、考えないといけないこと、そして、認めなければいけない。それはあります。私たちは本当に現実で、どうやって日本の独立と平和を守るということできちんとした責任を持つ政党ですので」
中国人民解放軍は、14日、台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を実施しました。今回の訓練は5月に続き今年2回目で、中国メディアは前回の2倍の規模だったと報じています。中国軍は「引き続き、戦闘準備を強化し、台湾独立の分裂行為を断固として失敗させる」と強調しています。
(Q.玉木さん、こうした現状がある一方で、核廃絶を追い求めなければいけない。この間の狭い道を行かなきゃいけないと思います。具体的にどうします)
国民民主党・玉木雄一郎代表
「一つの鍵になるのが、核保有国も加入しているNPT条約だと思うんですね。この核不拡散条約第6条には、核保有国、非保有国も合わせて核軍縮に向けた条約、条約締結に向けて誠実に交渉する義務が、アメリカにもロシアにも中国にも日本にも全部かかっているんです。私は、オブザーバー参加するのは、核の傘とか、アメリカとの関係で難しいということを言うけれども、このNPT条約6条に基づいて、そういった方向に行くんだといって、唯一の戦争被爆国・日本が出ていって、そして、そういった究極的な条約の締結に向けた誠実な交渉の努力の一環として、席を共にして、被爆の実相を伝えていく。非人道性を伝えていくことの意義は、私は整合性ある形でできると思うので、ぜひ外務省にも、政府にも真剣に検討してもらいたいと思います」
(Q.共産党の田村さんは、オブザーバー参加どころかという立場ですか)
共産党・田村智子委員長
「オブザーバー参加、そして、批准が必要ですけれども、先ほどの総理の発言は、核兵器で武装しなければ平和は守れないかのような発言で、唯一の被爆国、戦争被爆国の総理大臣の発言として、私は極めて重大だと言わなければなりません。やはり、被団協の皆さんがなぜ、ノーベル平和賞を受賞したか。それは、非人道性なんですよ、核兵器は絶対に使われてはならない兵器だと。それが核兵器禁止条約のとった立場なんですよ、悪の兵器だと。この立場で、それは中国、ロシア、アメリカに対して、すべての核保有国に使われてはならない。そして廃絶に向かうんだということを、なぜ、被爆国の政府として働きかけないのか。そして、この非人道性というのを世界に伝えていかなきゃいけないということも総理は言うんです。日本政府の立場なんですよ。それは核抑止とは矛盾する。核抑止というのは、いざとなれば、『核兵器を使うぞ』と言って、相手を脅すことですから。広島・長崎を再現させるぞということですから、矛盾するんです。だから、核抑止のほうを乗り越えるという議論をしなければならないと思います」
(Q.山本さん、どうでしょうか)
れいわ新選組・山本太郎代表
「核禁止条約は、絶対、批准です。橋渡しという言葉が出てきましたけど、実際の日本政府の動きは橋渡しじゃなくて煽りに行ってる感じになってしまっています。どうして3年もウクライナが続くのかという話ですけれど、原因の1つはロシアにもあります。アメリカにもあります。アメリカの戦略、オフショアバランシングという部分です。要は、自分たちは戦地に人を赴かせず、国民を殺さず、そして、同盟国だったり、近しい国に敵国と対立させて戦争をさせる。一方で、武器を送り続けるということです。結果、それによってどうなるかといったら、国内景気爆上がりだということです。この件についてはブリンケン国務長官も記者会見で仰ってます。『ウクライナへの軍事的な投資の90%は、米国内で米国の兵器製造業者による生産に費やされており、多くの雇用を創出し、経済を成長させるため、米ウ双方にとってウインウインだ』と。アメリカの世界戦略につきあう、ある意味で、G7と足並みをそろえて経済制裁も一緒にやっちゃうってことはかなりリスクになるんですよ。やはり距離を置く方がいい。そして、ロシアとの間にちゃんと関係性を保って、戦争を終わらせるための中立としての停戦を申し込む。そのテーブルに、アメリカとロシアをつけるということをやっぱり最大限努力するべきだろうと思います」
(Q.たくさんの意見を聞きたいと思います。維新の馬場さん)
日本維新の会・馬場伸幸代表
「アメリカの核の傘で守られているということは現実です。そしてそれを放棄してしまうということは、あまりにも無防備になるということが現実の姿だと思います。一方、唯一の核被爆国である日本が、核兵器を世界からなくしていくということに最大限の努力をすると、これが理想です。岸田前総理の時に広島サミットがありました。この広島サミットのときに、現実と理想をいかに近づけていくかという観点で、岸田前総理が『ヒロシマ・アクション・プラン』というのを作っています。これは5項目にわたる、核をなくしていくためのアクションプランです。ですからこういったプランを持って、核禁条約の締結国会議にオブザーバーで参加をして、それを各国に説明して回るだけでも、随分、説得力出てくると思うんです。できることをやっていくということが大事だと思います」
(Q.次、総理大臣になられるかもしれません。具体的に核の問題含めて、安全保障の基本的な考え方を教えてください)
立憲民主党・野田佳彦代表
「基本的には、日米外交、日米同盟が日本の外交安全保障の基軸であると思っています。これは基本です。一方で、日本周辺のいろんなきな臭い動きについては、日本も、私は一定程度のパンチ力のある対応は構えておくべきで、加えて日米同盟があって、さらに、今アジア太平洋の動きについては、欧州各国、イギリスもドイツもフランスもイタリアもみんな関心を持つようになってまいりました。そういう国々の力も借りて、やはり力による現状変更はだめだという、多層的な動きをつくっていくというのは、日本にとっては大事だと思っています」
(Q.与野党を通じて多くの方がそういう意見をお持ちだと思いますが、石破さんどうでしょうか)
自民党・石破茂総裁
「私はこの問題を何十年もずっと考えてるんですけど、核が悲惨であること間違いない事実。だけど、敗戦後80年経とうとして核の恐ろしさを忘れてしまった人はものすごく多い。いかに悲惨なものかを世界中に周知せしめるのは、被爆国たる日本の義務です。それは間違いないです。だけれども同時に、日本の抑止力を強化するために、どんな時に核使って、どんな時に核使わないのか全然分かりません。ということは、信頼性も何にもない。それがきちんと話し合える体制をNATO(北大西洋条約機構)なみに作る。核ミサイルを撃たれても必ず落とせるミサイル防衛能力を上げる。仮に撃たれても国民は1人も死なないという、シェルターも含めて国民保護の体制をきちっとやる。ようは核なんか使ったって意味ないですよという体制を作っていかなければいかん。同時に、核がどんなに悲惨なのかを周知せしめねばならん。そういうことをやりながら、どうやって核なき世界を作るか。ものすごく難しい議論だけど、それができるのは日本だということは、よく承知をしています」
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■日本が目指すべき“幸せ”は?ここからは日本が目指すべき“幸せの姿”について考えていきます。国連機関が公表している世界幸福度ランキング(2024年)では、先進国が軒並み上位の一方、日本は51位と低い状況です。
さらに、各国の名目の平均賃金の推移を見ると、1997年を100とした場合、先進国では倍増以上の国もありますが、日本は1997年よりも低い状況です。
お金が潤沢にあれば幸せというほど単純なものではないですが、一方で、先立つものがあって安心があって幸せを求めることができることも事実だと思います。
(Q.玉木さん、日本が幸せになっていくために一番大事なことは何だと思いますか)
国民民主党・玉木雄一郎代表
「手取りを増やすことです。賃金は上がってきてます。ただ、賃金が上がっても、そこから引かれる税金と社会保険料とか、ガソリン代・電気代が高くて、手元に残るお金が少ないのが日本の特徴です。私が具体的にやりたいのは例の103万円の壁。これがこのままだと、例えば最低賃金1000円が1500円になったって働く時間を3分の1減らして収めようとするから、この高さを上げてあげなきゃいけない。これは1995年、30年前に決まった水準です。でもそこから最低賃金だけでも1.7倍に上がっているから、せめて178万円まで上げて、178万円までは無税で働こう。所得の低い方はたちどころに所得が1.7倍になりますから。できることからやったらいいんですよ。そしたら少しでも幸せを感じることができるようになると思います」
(Q.田村さんは、働く時間に着目しているそうですね)
共産党・田村智子委員長
「賃金が低いことから長時間労働にもなってる。だから賃金を大幅に上げるのと一体で、労働時間も短くして自由な時間を持てるようにしようと呼び掛けています。例えば、私は子育て中に本当に実感したんですけれど、定時で帰ったって本当に家事・育児はとてもこなせないです。1日7時間労働、自分の時間が持てる、自由な時間が持てる。全ての人にとって何のために働いてるんだろうかと。豊かな人生。家族と過ごす時間だったり、余暇を楽しんだり、それから教養を身につけたり、こういうことがあってこそ豊かな人生、幸せな国になっていくと思います。収入アップ、そして働く時間を短くということ実現したいと思います」
(Q.石井さん、働く時間を短くしたいのはやまやまだけど、同時に質も上げる努力も必要だと思いますが、いかがですか)
公明党・石井啓一代表
「やっぱりデフレ、物価も上がらないけど給料も上がらないというのが30年近く続いてしまってた結果が(名目平均賃金推移の)グラフに表れてますよね。これからは物価が上がるけれど、給料がそれ以上に上がって、それが消費の拡大につながって、さらに物価が少し上がっていくという、プラスの経済循環を作っていくことが重要だと思います」
(Q.本当にそうしたいものですが、山本さんはご意見ありますか)
れいわ新選組・山本太郎代表
「すごく説得力がないなと思います。自民党と公明党と民主党によって、この国が壊されたと思ってます。経済が特に。絶対やっちゃいけないことは、景気が悪い時に消費税上げちゃダメなんですよ。そんなことやる国ありません。国内が弱るから。一方で日本はどうなったか。1997年に5%に上げて、その翌年から本格的デフレですよ。結局そこから何が生まれたかということですけど、国内総崩れになっていったんですね。しかもその後も8%10%に上げていきました。ちなみに、消費税増税した後に、増税前の景気の水準に戻るまでどれぐらいの時間がかかったのか。例えば消費税8%だったら、5年経っても回復しなかったんですよ、景気が。回復していないのに、また消費税10%に上げて。そこでコロナも重なって余計大きな傷となってしまった。100年に1度と言われるようなリーマンショックでも回復までに1年9カ月ですよ。全てリーマンショック越えなんですよ。どうしてそんな消費税を上げるんですかといったら直間比率の是正。大企業に減税するための穴埋めとしての役割をずっと果たしてきたということですよ。一部の人たちだけが金もうけできたけど、多くの国民が貧困化している今を考えれば、まずは需要の喚起。そのためには軍資金、減税する、社会保険減免する、様々なことをやっていかなきゃダメな場面だと思います」
(Q.経済税制の話より幅を広げて、石破さんの目指す理想の日本・幸せな日本はどういうことですか)
自民党・石破茂総裁
「お互いがもっと思いやれる社会じゃないですか。昔の日本って、こんなにお互いが足を引っ張り合ったり、悪口言いあったりしなかったですよ。私はコストカット型の経済、賃金を抑え、下請けの負担を負わせる、そういう経済は続けちゃいけないと思っています。だから、コストカット型の経済から、賃上げと投資がけん引する高付加価値創出型経済に。説明するのは結構面倒くさいんだけど、とにかくコストを下げるじゃなくて、賃金上げましょうよと。そして設備投資をして、もっと魅力的な商品・サービスを作っていきましょうよと。一部の人たちがいい思いをする経済をやってると思いやりがなくなります。お互いが悪口言い合うようになる。幸せな社会って賃金だけじゃないけれど、皆が豊かに暮らせる、そして相手を思いやれる社会を作っていかないと。分断社会は変えていかなければいけないです。でないと皆幸せにならない」
(Q.野田さん、今の話と相通じるところもあると思いますが、違いも含めていかがですか)
立憲民主党・野田佳彦代表
「共通点は、当面の話は物価よりも賃金が上がるようにすること、可処分所得が増えて少しでも今日より明日が良くなると思うようにすることが第一だと思います。ただ、その先の幸福度ランキングを見ると1〜4位まで全部北欧諸国でしょ。日本より消費税ははるかに高いんですよ。でも彼らは痛税感って言葉は言わないです。それはきちっとしたサービスがあるから。私はベーシックサービス、医療・介護あるいは子育て・教育・障害福祉、そういうものはきちっと国が供給して不安のない社会を作れば、財布のひもを緩めることになると思うし、不安のない国が幸福度なんですよ。そういうことを私は段階的にやっていくべきだと。私が消費税を上げるっていう話じゃないですよ。今はまず、子育て支援・教育支援とかベーシックサービスを、国・社会が後押しをする。段階的にその他のものも全部国が補給することによって“弱い人のための政治”という言葉は死語になって、弱い人を作らない政治を目指すべきだと思います」
(Q.馬場さん、いかがですか)
日本維新の会・馬場伸幸代表
「人の一生を考えると、一番お金のいる時期はいつかと考えると、結婚して子どもができる、その子どもがどんどん進学をしていく、保護者お父さんお母さんも職場の最前線で働く時期を迎えます。そこの時期をいかに経済的にサポートして、夢や希望があふれるようにやっていくと。これは昭和の高度経済成長期の時はそういう国でした。子育て世代・現役世代、若い世代の皆さん方を経済的にサポートする。例えば教育の無償化。行財政改革で、大阪で幼稚園・保育園から大学・大学院まで全部やってますから現実。そういうことをやる。消費税は当面の間2%カットする。そして、余裕のある暮らしをして、手取りを増やしてあげれば、そこで消費にお金が回っていく。すると経済が大きくなりますから、それが税収にはね返ってくる。いいサイクルがどんどんできてくると思います」
(Q.石井さん、そこら辺の考え方は近いんじゃないですか)
公明党・石井啓一代表
「そうですね。今、内政上の最重要課題は人口減少。少子化の流れをどれだけ抑えられるかが、一番大きな課題になると思います。実際、担い手不足・働き手不足は様々な業界で現れています。そのためには教育費の負担・子育ての負担を圧倒的に少なくして、世界一子育てしやすい日本を目指すことが重要だと思っています」
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■教育の完全無償化 実現性は?(Q.皆さんの公約では、幅はそれぞれありますが、教育の無償化で基本的に一致しています。石破さん、各党が子どもの教育にお金がかからないようにサポートしようよと言ってるわけだから、党を横断して、自民党が先頭になって、そろそろこの政策を具体化してもいいんじゃないですか)
自民党・石破茂総裁
「それぞれの方々が望んでいる最適な教育を受けられるようにしたいと思っています。“親ガチャ”なんて言葉は他党の主張でもあるけども、生まれた環境でみんな決まっちゃうことがあっていいはずがないので、そこも改めねばならない。予算の中で教育に占める割合をOECD(経済協力開発機構)なみに引き上げていかなければいけないと思っています。そこにおいて、どう財源を見いだしていくのかという議論をきちんとしたい。夢は語れる、あるべき社会も語る、じゃあどうやってその負担を生み出していくかについて議論したいと思っています。そして、教育にきちんと時間をかけられる体制を作っていきたいと思っています」
(Q.野田さん、まさに今の話どうですか)
立憲民主党・野田佳彦代表
「民主党政権の時に高校授業料無償化やった時は『ばらまきだ』と皆さんに批判されましたけど、教育の無償化はもう全党が主張するようになったことはいいことだと思っています。例えば給食費の無償化だったら5000億円でできます。この確保ぐらいは一緒にやろうと言っていただいてもいいのではないか。自治体によってバラバラっておかしいですよ。ということも含めて順次、無償化を実現していくことはコンセンサスにしたいと思います」
■選択的夫婦別姓 導入は?
(Q.選択的夫婦別姓について、3年前の選挙の時に皆さんに聞いたら、自民党を除いては賛成と仰いました。維新の会の松井前代表もそう仰いました。馬場さん、今もその立場は変わらないですか)
日本維新の会・馬場伸幸代表
「はい、賛成です」
(Q.自民党だけは、党内に限らず色々な意見があるのでなかなか決められないと仰った。石破さんは以前、個人的には賛成だという仰いましたが実現はどうでしょうか)
自民党・石破茂総裁
「我々は総裁がこうだって言ったらそうなる党じゃない。色んな議論があるわけです。それは思想の問題じゃなくて、例えば夫婦があって最初のお子さん、次のお子さんの名前が違ったらどうするのということもある。色んな問題があって、我が党はそれぞれの地域で色んな方々のご意見を聞いて、それで動かしている党ですのでね。いつまでとは区切らないけど、いつまでも議論をしてるってことはやめましょうよと、結論を出していかないといかん。それは決して良いことではない。これは結論を出そうよ、ということだし、意見が違うから結論が出せないということであれば、政党としてあるべき姿と私は思っておりません」
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■政権獲ったら“実現したい政策は”?皆さんにはスタジオに入る前に“政権を取ったらどうしても実現したい政策”を書いていただいています。
自民党:日本創生
立憲民主党:政治資金規正法の抜本改正
日本維新の会:全ての教育の完全無償化を実現!!
公明党:政治資金を毎年監督する第三者機関の設置
共産党:賃上げと労働時間の短縮
国民民主党:『103万円の壁』の引き上げ
れいわ新選組:経済オンチから日本を取り戻す
最後は総理大臣に締めてもらいましょう。皆さんこうやって毎日のように会って色んな政策議論が交わされているわけですから、一致点はどんどん実現に移していただきたいというのが我々の願いです。そこに向けての決意をお願いします)
自民党・石破茂総裁
「それはそうあるべきでしょう。そうでなきゃ議会がある意味がないですから。それぞれの党が議席を獲得する。それは主権者たる国民の意思を付託されているわけだから、わが党だけが正しいんだというつもりはありません。きちんと財源の議論もしましょう。あるべき安全保障政策を議論しましょう。議論のすれ違いだったら議会に意味がない。そこはよく分かってるつもりです。色々な方のご意見に謙虚に耳を傾ける。そういう誠実な政党になります」
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■社民党・参政党の主張は社民党の福島みずほ党首、参政党の神谷宗幣代表は、衆議院選挙に向けてそれぞれ次のように訴えています。
社民党 福島みずほ党首
「頑固に平和。くらしが一番。税金はくらしに。社民党が作りたい社会は、医療や介護や福祉がちゃんと真ん中に位置付けられる、ケアを中心とした社会です。大企業の内部留保600兆円を超えました。ここに3年間課税する。そして3年かけて公平な税制を作っていく」
社民党は「金権政治一掃」を公約に、政治資金パーティーの全面禁止や企業・団体献金の廃止を打ち出しています。また、消費税を3年間ゼロにして「家計に素早く恩恵をもたらす」そして後期高齢者の医療費の窓口負担を1割に戻すと訴えています。
参政党 神谷宗幣代表
「日本をなめるな。そして3つ護ると言っているんですよ。国土と富を護る。健康と食を護る。そしてアイデンティティーと教育をしっかり護っていくことを訴えています。根幹にあるのは日本を守りたいという歴史観と国家観。先人たちが培ってきた大切な日本を、守ってきた日本を子どもや孫の世代に伝えたい」
参政党は「若者が未来の社会を動かす」として、16歳以上に投票権を与えることを公約に明記しています。また「過度な移民の受け入れに歯止めをかける」ため「行き過ぎた外国人労働者の流入を抑える」と訴えています。そのほか「新型コロナウイルスワクチンの接種推進策の見直しを求める」としています。
衆議院選挙は15日に公示され、27日に投開票を迎えます。
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