第50回衆院選が15日に公示され、午後5時に立候補を締め切った。日本経済新聞社の集計で候補者は1300人を超える見通しだ。経済の成長戦略や暮らしに身近な物価高への対応などをテーマに論戦を交わす。自民党派閥の政治資金問題を受けた政治改革への有権者の関心も高い。

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投開票日は27日。与党の公示前勢力は自民党247、公明党32の計279議席だった。自公両党は引き続き過半数を確保し政権を維持できる233議席を勝敗ラインとする。立憲民主党など野党は与党の過半数割れを狙う。

与党として47議席減ると過半数を、自民が15議席減らすと単独過半数を下回る。与党が安定して国会を運営するために必要な議席数となる安定多数・絶対安定多数を得られるかもポイントとなる。それぞれ244議席、261議席が要る。

衆院選は2021年10月以来3年ぶりで、小選挙区定数「10増10減」を受けた新区割りで初めて実施する。小選挙区289、比例代表176の計465議席を争う。9日の衆院解散から投開票までは18日間で戦後2番目の短期決戦となる。

日本経済新聞社の集計で午後4時半現在、小選挙区1108人、比例代表と合わせて1339人(重複立候補除く)の立候補が受理された。このうち女性は314人で過去最多となった。

21年衆院選の立候補者は計1051人で、現行の小選挙区比例代表並立制になった1996年以降で最も少なかった。

今回の立候補者数が前回を大きく上回ったのは、野党間の候補者調整が進んでいないためだ。与党と主要野党の一騎打ちの構図は50選挙区ほどにとどまる。

各党の公約は物価高対策や賃上げなどの経済政策を柱に据える。

自民は「物価高の影響を特に受ける低所得世帯を下支えする給付金」を明記した。地域の実情に沿った対策のため「重点支援地方交付金」の拡充や、最低賃金の引き上げも掲げた。

石破茂首相(党総裁)は15日の街頭演説で、新たな経済対策の財源となる24年度補正予算案について23年度補正予算の規模を上回るものにすると言明した。23年度補正は一般会計の歳出規模で13兆円だった。

公明の公約は低所得の子育て世帯や年金生活者も給付金の対象に加えた。年内までのガソリン補助金と、8〜10月に限っている電気・ガス代支援は継続を打ち出した。

立民は「分厚い中間層の復活」を重視する。中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」の導入を訴える。最低賃金1500円以上の目標や中小企業が賃上げしやすい環境の整備も盛り込んだ。

日本維新の会は消費税の税率8%への引き下げや軽減税率の廃止、高齢者医療の窓口負担の引き上げを公約とする。共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党、参政党も消費税の引き下げや廃止などを掲げる。

政治資金問題を受けた「政治とカネ」への対応も論点となる。

自民は問題のけじめをつけるため、政治資金収支報告書の不記載があった議員について、非公認や比例での重複立候補を認めないといった措置をとった。立民など野党は政策活動費廃止などの「政治改革」を訴える。

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