15日公示された衆院選。自民党派閥の裏金事件に絡み、党公認から外れて無所属で挑む候補者、自民公認ながら比例重複が認められず、小選挙区単独で臨む候補者らの訴えを追った。

衆院選が公示され、聴衆に頭を下げる候補者=東京都内で(一部画像処理)

◆東京17区 不記載額1800万円のベテランは

 「私は今、自民党の一員ではないけれど、やっぱり私は自民党なんです」  15日午前、選挙事務所近くの神社で出陣式に臨んだ無所属前職の平沢勝栄氏=東京17区(葛飾区)、旧二階派=は、青いポロシャツ姿で500人を超える支援者を前に力説した。  復興相を務め、10回目当選を目指すベテラン。政治資金収支報告書への不記載額は1800万円超で、党役職停止1年の処分を受けた。ただ公示直前まで公認されるとみられていただけに、応援演説に立った弁士が「党をひたすら支えてきた大功労者が非公認とは釈然としない。何としても国政に送ろうじゃありませんか」と訴える場面も。  自民の朝日健太郎参院議員(東京選挙区)も姿を見せ「国会からただ一人応援に来た。平沢先生は最も失ってはならない」とアピールした。  同選挙区にはほかに日本維新の会新人の猪口幸子氏、共産党新人の新井杉生氏、国民民主党新人の円より子氏が立候補を届け出た。 ◆東京17区 立候補者(届け出順)
猪口幸子 68 維新  新
新井杉生 65 共産  新
円より子 77 国民  新
平沢勝栄 79 無所属 前⑨

◆東京24区 「反省している」と旧安倍派の幹部

 主要閣僚を歴任した旧安倍派の幹部で、平沢氏と同じく公示直前に非公認が決まった無所属前職の萩生田光一氏=東京24区(八王子市)。政治資金収支報告書への不記載額は2700万円余に上り、党役職停止処分を受けた。15日午前の第一声では「派閥のルールを踏襲したとはいえ、足を止めて考えなければならなかったと反省している」とし、「もう少し専門的な見地から、派閥の運営について話し合いをするべきだったと深く反省している」「不快な思いをさせた皆さまにおわび申し上げたい」と釈明した。  同時に「意図して裏金をつくるとか、ましてや脱税だとか、このような事実は一切ない」とも。党非公認となったことには「甘んじて受けなくてはならない」とし、「原点に返って八王子の代表を目指して戦い抜きたい」と訴えた。  同選挙区にはほかに参政党新人の与倉さゆり氏、立憲民主党新人の有田芳生氏、無所属新人の畑尻文夫氏、国民民主党新人の浦川祐輔氏、日本維新の会新人の佐藤由美氏が立候補を届け出た。 ◆東京24区 立候補者(届け出順)
与倉さゆり 40 参政  新
有田芳生  72 立民  新
畑尻文夫  69 無所属 新
浦川祐輔  31 国民  新
佐藤由美  52 維新  新
萩生田光一 61 無所属 前⑥

◆東京7区 「ルールをしっかり守っていく」

 参議院議員からのくら替えで東京7区(港、渋谷区)で挑む自民党新人の元五輪担当相丸川珠代氏(旧安倍派)は、裏金事件では政治資金収支報告書の不記載額は800万円余。党の処分は戒告にとどまったが、比例重複立候補が認められないことになり、小選挙区一本の「背水の陣」で臨む。  15日午後の街頭演説では「二度とこのようなことを起こさない。その覚悟で政治資金規正法を改正した。このルールをしっかり守っていく」と訴え、腰を90度に折り曲げて支援者らに頭を下げた。  同選挙区にはほかに参政党新人の石川友梨香氏、立憲民主党元職の松尾明弘氏、日本維新の会前職の小野泰輔氏が立候補を届け出た。 ◆東京7区 立候補者(届け出順)
丸川珠代  53 自民  新
石川友梨香 28 参政  新
松尾明弘  49 立民  元①
小野泰輔  50 維新  前①

衆院選が公示され、街頭演説に耳を傾ける人ら=東京都内で




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