長崎2区の候補者の出陣式で拳を突き上げて必勝を誓う支援者ら=長崎県諫早市で2024年10月15日午前10時43分、松尾雅也撮影

 衆院選が15日公示され、27日の投開票まで12日間の舌戦が始まった。自民党派閥の裏金事件の対応に注目が集まる一方、埋もれがちになっている物価高対策や地方の再生、安全保障など、生活の安定や国の行く末を左右する諸課題にどう向き合うのか。各地で発せられた候補者の声に、有権者は耳を傾けた。 

 2014年に約138万人いた人口が10年間で1割減った長崎県。国立社会保障・人口問題研究所が23年12月に公表した推計では、50年の人口は約87万人となり、20年比で3割以上減る。減少率は九州・沖縄で最大だ。各候補は人口減少対策を訴えるが、自民党派閥の裏金事件を受け「政治不信」の壁が立ちはだかる。

 県内の選挙区は、「10増10減」の区割り変更で4から3に1減した。旧長崎3区では、21年の選挙で7選した谷川弥一氏が、裏金に絡んだ政治資金規正法違反で略式起訴されて辞職し、大きな批判を浴びた。

 事件の余波が残るなか、旧3区の票田だった大村市などを含む新2区からは、旧2区の自民前職、加藤竜祥氏(44)が再選を目指す。その加藤氏も派閥からの10万円の還流金を政治資金収支報告書に記載していなかったとして国土交通政務官を辞任。比例代表との重複立候補も認められず、15日の諫早市での出陣式では謝罪したうえで「心新たにふるさとの発展のために汗を流したい」と語った。

 立憲民主党前職の山田勝彦氏(45)は、谷川氏の辞職に伴う24年4月の旧3区補選で再選。今回も裏金事件を強く批判し、諫早市の出陣式で「金権政治ではなく、国民の声で動くまっとうな政治へ、もう変えんば」と力を込めた。

 日本維新の会新人の横田朋大氏(37)は裏金事件を「長年にわたって組織的に行ったある種の犯罪行為だ」と非難。参政党新人の高木聡子氏(43)は「積極財政や減税で国民の負担を減らす」などと訴えた。

 長崎2区は人口減少が著しい離島の対馬、壱岐両市や島原半島を抱える。対馬市の主婦(72)は「人口減少と高齢化が進む離島の活性化策を真剣に考えて」と語り、壱岐市の自営業の男性(61)は「人口減少対策や地方創生のための実のある政策が必要。島に若者が残れる産業振興や子供たちが安心して暮らせる地域づくりが必要だ」と求めた。【松尾雅也、川島一起】

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