第50回衆院選が15日、公示された。1日に石破茂首相が就任したばかりの自公連立政権の信任を問う。自民党派閥による裏金事件を受けた「政治とカネ」の問題への対応が最大の焦点となる。物価高を踏まえた経済対策や安全保障政策なども争点だ。立憲民主党など野党は政権交代を訴える。27日の投開票まで12日間の本格論戦がスタートした。
衆院定数は465議席。全国の小選挙区で289議席、11ブロックの比例代表で176議席をそれぞれ争う。首相就任から26日後の投開票は戦後最短だ。
公示前勢力は自民256議席、公明32議席の計288議席。首相は自民、公明両党で過半数(233議席)の確保を勝敗ラインと位置付ける。自民が単独で過半数を維持できるかが焦点となりそうだ。
裏金事件を受け、自民は政治資金収支報告書に不記載のあった前議員ら12人を非公認(比例名簿に登載しなかった3人を除く)とし、34人について比例代表との重複立候補を認めない異例の措置を取った。
首相は15日、福島県いわき市での第一声で「(政治資金)パーティー収入の不記載が二度とないように、深い反省のもとに臨む。この選挙を日本創生のための選挙だと位置付け、もう一度新しい日本をつくっていく」と訴えた。公明の石井啓一代表は東京都豊島区で「国内外の課題にしっかりと答えを出し、政策を進めることができるのは豊富な実績と経験のある自公の連立政権しかない」と主張した。
立憲は自公の過半数割れを目指している。立憲の野田佳彦代表は、裏金事件で自民から非公認になった前議員が出馬した東京都八王子市で「裏金が大きな争点であることを国民にご理解いただき、その怒りを共有していただく。裏金議員を裏から支える政治、裏、裏、裏の自民党政治からもう決別しよう」と訴えた。
日本維新の会の馬場伸幸代表は東京都新宿区で「政治への信頼を取り戻すためには政治とお金の問題をもっとクリーンに、もっと見える化をしていかなければならない」と強調した。
共産党の田村智子委員長は東京都豊島区で「裏金事件の幕引きを許さず、徹底的な真相解明をさせる。真の政治改革を進めていこう」と呼びかけ、国民民主党の玉木雄一郎代表は神戸市で「裏金問題の決着を訴えるとともに、国民の手取りを増やす経済政策を掲げて戦い抜く」と訴えた。
れいわ新選組の櫛渕万里共同代表は東京都墨田区で「消費税減税、季節ごとの現金給付、社会保険料の引き下げを求める」、社民党の福島瑞穂党首は沖縄県浦添市で「この衆院選は自民党政治を終わらせる歴史的な選挙だ」、参政党の神谷宗幣代表は大阪市で「争点は、激動の国際情勢の中で日本がどう生き残っていくかだ」と訴えた。【野間口陽、金寿英】
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