第50回衆院選が15日に公示され、27日の投開票に向けて12日間の選挙戦が始まった。深刻な政治不信を招いた自民党派閥の裏金事件を受け、「政治とカネ」の問題への対応が最大の争点となる。経済再生や安全保障も論戦のテーマ。自民、公明両党が過半数(233議席)を維持できるかが焦点だ。
衆院選は2021年10月以来3年ぶり。石破茂首相(自民総裁)は厳しい批判を踏まえ、事件に関係した前議員ら12人を非公認とした。短期決戦で乗り切るため、1日の内閣発足から投開票まで26日という戦後最短の日程を設定。勝敗ラインを「自公で過半数」に置いた。自民が単独過半数を維持できるかも注目される。
これに対し、立憲民主党の野田佳彦代表は「自公過半数割れ」を目標に据える。共産党との連立政権を否定して同党が反発し、野党共闘は限定的となった。
与野党党首は各地で支持を求めた。首相は福島県石川町で街頭演説し、事件について「深いおわびと反省」を表明。「日本創生がスローガンだ。国民の暮らしを豊かにする」と力を込めた。
野田氏は東京都八王子市で演説し、「裏金隠し解散だ。裏、裏、裏の自民政治と決別しよう」と力説。企業・団体献金の廃止が「政治改革の原点」だと訴えた。
日本維新の会の馬場伸幸代表は「物価高を上回る賃上げにつながる政策を打っていく」とし、消費税率8%への引き下げを主張。公明の石井啓一代表は賃上げや人口減対策、防災・減災を挙げ、「課題に答えを出せるのは、実績と経験のある自公連立政権しかない」と声を張り上げた。
共産党の田村智子委員長も「自民は裏金議員の大多数を公認した。事件の幕引きを許さず、徹底的に真相解明させる」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表は「減税や社会保険料の軽減、ガソリン代引き下げで国民の手取りを増やす」と語った。
れいわ新選組の櫛渕万里共同代表と社民党の福島瑞穂党首、参政党の神谷宗幣代表も支援を呼び掛けた。みんなでつくる党も候補を立てた。
今回の衆院選は小選挙区定数の「10増10減」に伴う新たな区割りが初めて適用された。小選挙区289、比例代表176の計465議席を争う。公示前勢力は与党が自民256、公明32の計288。野党側は立民98、維新43、共産10、国民7などとなっている。
衆院選が公示され、政党の第一声を聞く有権者ら=15日午前、東京都豊島区
衆院選が公示され第一声を上げた各党党首。写真右から自民党総裁の石破茂首相、立憲民主党の野田佳彦代表、公明党の石井啓一代表、日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の田村智子委員長、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表、社民党の福島瑞穂党首、参政党の神谷宗幣代表=15日
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